バンクーバー通信BACK NUMBER
この13年間「タフでした」。
上村愛子、闘い続けることの意味。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2010/02/28 08:00
上村の13年間は「努力」の強さを証明した価値ある年月。
駆け足でこれまでの歩みをたどってきたが、その中には1日1日、練習に励み、思い悩み、ときに笑い、ときに悲しみ、苦しんだ日々があった。
一つのことに打ち込み続けるのは、決してたやすいことではない。ましてや、自分と対話を続け、目をそむけることなく、弱さをのぞきこみ、克服しようとしてきた時間の積み重ねだ。
だから、上村は、「タフでした」と、バンクーバー五輪を終えて言う。
メダルには届かなかったかもしれない。
だがその事実は、長期間、世界の舞台でしのぎを削ってきた価値を損ないはしない。
そして7、6、5、4位と、一歩ずつ上ってきたということは、課題を克服しようと苦闘してきた努力が実を結び続けたことを表してもいる。
第一線で戦い続けることの価値を知らしめた一人が、上村愛子だった。