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不振の今こそもう一度確認したい、
常識外れの“イチロー・スタンダード”。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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posted2011/06/15 10:30

不振の今こそもう一度確認したい、常識外れの“イチロー・スタンダード”。<Number Web> photograph by Getty Images

イチローのバットが空を切る。6月7日のホワイトソックス戦では4打数無安打に終わり、打率は2割6分となった

イチローとて永遠では無いことを意識して応援すべし!

 近代野球といわれる1900年以降昨シーズンまで年間200安打達成者はイチローを含めのべ515選手存在する。しかしイチローと同じ37歳以上の達成者だけに絞ると、これまで延べ7選手しか達成できていないのだ。しかも、スポーツ医学やコンディショニング理論が確立し選手寿命が大幅に伸びた近年でさえ、モリターとグウィンの2人しか達成できていない。

●1900年以降、37歳以上での年間200安打達成者
達成年 選手名 年齢 安打数
1922 ジェイク・ドウバート 38 205
1924 タイ・カップ 37 211
1925 ザック・ウィート 37 221
1928 サム・ライス 38 202
1930 サム・ライス 40 207
1979 ピート・ローズ 38 208
1996 ポール・モリター 39 225
1997 トニー・グウィン 37 220

 繰り返すが、ここまでメジャー球界の常識の中でイチローを論じたに過ぎない。

 一方で我々は、この10年間でイチローが数々のメジャーの常識を覆したのを目撃した生き証人でもあることを忘れてはならない。

 ある意味イチローは編集できない独り舞台を演じてきたのではないだろうか。そして毎年様々な演出を加えながらも、常にファンが期待する年間200安打という上質のパフォーマンスを提供してきた。

 かつて、日本の名優、森繁久彌氏は自らの体力の限界を理由に、永遠に続くと思われていた『屋根の上のヴァイオリン弾き』を900回目の舞台で自ら身を引いた。そんな風に、我々の気づかないところで確実にイチロー・スタンダードが永遠ではなくなる日が忍び寄っているのだ。

 果たしてそれが今シーズンなのかどうかはイチロー以外誰にもわからない。

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