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菊池雄星の大学進学への疑問。
~思い起こされる落合の言葉~ 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKYODO

posted2010/01/29 10:30

菊池雄星の大学進学への疑問。~思い起こされる落合の言葉~<Number Web> photograph by KYODO

新人合同自主トレで、松下建太(右)とダッシュを競い合う菊池雄星。キャンプも1軍スタートが決まった

松井秀喜とイチローが挙げる一人前になるための条件とは。

 そして野球選手が一人前になるにはどれぐらいかかるのかというヒントとして、松井とイチロー(シアトル・マリナーズ)の2人が同じ年数をあげていることを紹介したい。

「3年間、きちっとした成績を残して初めて自信が持てる」

 日本を代表する2人のプレーヤーが、軌を一にして「3年」という数字を口にしている。1年、2年、結果を残してもそれが本当に自分のものなのかはわからない。3年続けてある程度の数字を残したときに、初めて自分のやってきたことに自信を持てる。そしてそこが頂ではなく、そこからがプレーヤーとしての本当のスタートになると2人が口にしていることも、非常に示唆的だ。

 それぐらいにプロの世界を生きていくということは厳しく、全身全霊で打ち込まなければ“一人前”にはなれないということだ。

“夢”を実現するためには野球に専念する勇気も必要だ。

 おそらく今回、雄星が大学に合格しても、しばらくは勉強に割く時間も体力も残らないような日々が続くだろう。ただ、根がまじめな雄星だけに、そうして思うように大学の勉強に取り組めないことが、逆にストレスになってしまうのでは、という危惧もある。だからやはりいま、野球以外のことに取り組みだすことは、決してプラスにはならないのではないだろうか。

「すべてに優先して野球を考えろ」

 そのために今は“夢”をしまっておく勇気も、必要だということだ。

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