MLB Column from USABACK NUMBER

MLB「窓際族」に吹きつける寒風。
~光る松井秀喜の正確な市況判断~ 

text by

李啓充

李啓充Kaechoong Lee

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photograph byKYODO NEWS

posted2010/02/19 10:30

MLB「窓際族」に吹きつける寒風。~光る松井秀喜の正確な市況判断~<Number Web> photograph by KYODO NEWS

1月10日、故郷の石川県能美市でのイベントに参加したエンゼルスの松井秀喜。子どもたちと笑顔で記念写真に納まる

守備力が数値化される現在はベテランには受難の時代。

 ベテランFA選手の市場が急激に冷え込んだ理由としては以下の3つが指摘されている。

(1) 80年代終盤に始まった「ステロイド時代」が終わり、(昔と同じように)ベテラン選手が年相応に老け込むようになった。たとえば、薬剤汚染選手の代表格であるバリー・ボンズは、35歳以降317本も本塁打を打ったが、ボンズのような異常な「若返り」現象をベテラン選手に期待するGMはいなくなっているのである。

(2) セイバーメトリクスの手法を用いた守備評価法が進歩するとともに、ベテラン選手の守備の衰えが数字で明瞭に示されるようになった。しかも、守備力を重視するチームが増えているので、ベテラン選手が敬遠されるようになった。

(3) ベテラン選手の相対的価値が下がる一方で、「低年俸の若手選手にチャンスを与えた方が長期的には得」と考えるチームが増えた。

逆風の市況を読み誤ったジョニー・デーモン。

 というわけで、ベテランFA選手の中でも、「守備の衰えが目立つ」選手の市場価値が暴落しているのだが、この市況を読み誤り「年俸の減額は絶対に飲めない」と突っ張って大失敗したのが、ジョニー・デーモン(36歳)である。

 市場全体の規模が縮小しているにもかかわらず、ずるずるとごね続けた挙げ句、各球団とももうFA予算を遣い尽くしてしまったというのに、いまだに契約を結ぶことができずにいるのである。近々タイガースと契約すると見られているものの、ヤンキースが当初示した2年・総額1900万ドルの条件を下回ると予想されている。

 一方、同じくFAでヤンキースを去ることになった松井秀喜(35歳)は、デーモンとは対照的に市況の読みが正確だった。市場規模が縮小していることを見越して、ごねることなくさっさとエンゼルスとの契約(1年・600万ドル)をまとめただけでなく、守備力をアピールすることも忘れなかったのだから……。

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