MLB Column from USABACK NUMBER
MLB「窓際族」に吹きつける寒風。
~光る松井秀喜の正確な市況判断~
text by
李啓充Kaechoong Lee
photograph byKYODO NEWS
posted2010/02/19 10:30
1月10日、故郷の石川県能美市でのイベントに参加したエンゼルスの松井秀喜。子どもたちと笑顔で記念写真に納まる
厳しい不況下、「窓際族」に寒風が吹きつけているのは、MLBも例外ではない。
キャンプが始まったというのに、いまだに就職先が決まらないベテランFAがごろごろしているのである。
今オフのFA市場が35歳以上の「窓際族」選手にとってどれだけ厳しいものであったか、以下、データで示そう。
<35歳以上FA選手の契約状況>
(ESPN.com “Free Agent Tracker”のデータより。2月14日現在)
年度 | 選手総数 | 引退・無契約 | メジャー契約 |
複数年契約 (括弧内は3年以上) |
マイナー契約 |
年俸総額 (億ドル) |
---|---|---|---|---|---|---|
2006 | 140 | 21 (15%) | 88 (63%) | 31 (12) | 31 (22%) | 6.3 |
2007 | 100 | 30 (30%) | 46 (46%) | 10 (3) | 24 (24%) | 3.0 |
2008 | 102 | 26 (25%) | 50 (49%) | 7 (4) | 26 (26%) | 2.9 |
2009 | 87 | 36 (41%) | 33 (38%) | 6 (0) | 18 (21%) | 1.2 |
まず、メジャーリーグ契約を結ぶことができた35歳以上のFA選手の割合であるが、2006年には63%もあったのに、今オフは4割を切る惨状となっている(2月14日現在)。
各球団ともメジャー40人枠は埋まり、FA用予算もほぼ遣い尽くしているので、今後雇われる「窓際族」選手は、一部の例外を除いてマイナーリーグ契約での雇用となるだろう。
さらに、複数年契約に限った場合、2006年の31件から激減、わずか6件にとどまっている。3年以上の契約にいたっては、2006年には12件を数えたのに、今オフはついにゼロとなってしまった。
FA選手の年棒総額は3年前に比べて5分の1に激減。
ベテランFA選手の市場がここ数年急激に冷え込んできた状況をもっとも如実に表しているのは、契約年俸総額の推移だろう。2006年には6億ドルを超えていた年俸総額が、翌2007年には半減して3億ドル。そして今オフは、2007年のわずか4割弱、1億2000万ドルとなってしまった。3年前の2006年に比べると、市場規模は5分の1に縮小したのである。