オリンピックへの道BACK NUMBER
41歳で選手と社長の二足のわらじ。
“バスケ界の鉄人”折茂武彦の挑戦。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2011/05/24 10:30
チーム名を変えて初の公式戦。「北海道への恩返し」を胸に社長としての挑戦は続く
現役プレイヤーであることと、チームの社長であること。
選手と監督・コーチを兼任することは決して珍しくはないが、社長を兼ねるのは異例のことではないか。競技生活にも支障を来たす可能性だってないわけではない。
バスケットボールの折茂武彦は、あえて困難な両立に挑むことを決意した。5月10日、自身が所属する日本バスケットボールリーグ(JBL)の「北海道バスケットボールクラブ」の社長に就任することを明らかにしたのだ。
折茂は日本バスケットボール界では知らぬ者のいないスーパースターである。
鉄人と言ってよい。
リーグ通算得点は、歴代1位の6866点を誇る。5月14日に41歳になったが、今なお所属クラブの主軸として活躍し、昨シーズンは1試合平均得点が17.57。これはリーグ2位の記録である。
試合での姿では、とうてい40歳とは思えない。自己管理とトレーニング、衰えることのない向上心は周囲も認めるところだ。
日本代表歴も長い。
初選出は1993年。以後、2度の世界選手権やアジアでの大会など数々の国際大会に出場。今年4月には、今年度の日本代表候補にも選出されている。
チーム消滅の危機を救うために立ち上がった弛み無き鉄人。
選手としても多忙をきわめることが予想される中、社長に就任したのは、チームの今後への危機感からだ。
実は北海道バスケットボールクラブは、今年1月までは「レラカムイ北海道」の名で活動をしていた。
レラカムイは2007年、プロチームとしてスタートを切った。ところが昨年、慢性的な経営危機にあったこと、さらには運営会社の経営に問題が発覚。ついには運営にあたっていた会社がJBLによって除名処分となり、JBLの関連会社が運営を引き継ぐことになった。
ただ、それはあくまでも暫定的な措置で、新しいシーズンへ向けて運営会社を探している最中だったのだ。