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最先端のデータ解析と精神論で
岡田ジャパンは「ベスト4」を狙う。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTamon Matsuzono

posted2009/11/04 10:30

最先端のデータ解析と精神論で岡田ジャパンは「ベスト4」を狙う。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

野球では古くから活用されてきたデータ解析だが、サッカーではここ10~15年ほどの話。2010年南アW杯ではさらなるハイテク合戦になることが予想されている

「日本代表vs.トーゴ代表」の一戦を中継したTBSが面白い試みを行なった。

 欧州などで採用されている試合の解析ソフトを導入して、岡田ジャパンの走行距離を計測。複数のカメラで選手を追尾してチーム全体及び個々の移動距離、移動速度などを測り、そのデータをお茶の間に届けたのだ。

 岡田ジャパン全体の走行距離は111.76kmに達したという。母国からの長距離移動で疲労困憊だったトーゴ代表が101.78kmだったとはいえ、日本代表は相手より約10km多く走ったことになる。また、フィールドプレイヤー1人あたりの平均走行距離は11.27kmだったそうだ。岡田武史監督は今年3月、平均で11kmに届いていないことを明かしていただけに、岡田ジャパンの進歩をサッカーファンもデータを通じて確認することができた。

欧州水準の高度なデータ解析を導入した岡田ジャパン。

 こういった解析ソフトが日本のメディアでも活用されるようになってきた。これには、欧州のビッグクラブが採用してきたソフトのシステム開発が進み、世界的な広がりを見せていることが背景にある。

 アーセナルが2000年から採用している「プロゾーン」も、その解析ソフトのひとつ。これは10台のカメラを駆使してピッチ上を網羅し、0.1秒ごとに選手の位置取りを把握。移動距離、移動速度などあらゆる情報の細分化したデータを取得できるものだ。運動量も秒速で区分できる。つまり速いスピードでどれぐらい走れているか、なども一目瞭然というわけだ。

 岡田ジャパンでは、欧州に比べて遅れているこのデータ分野のレベルアップに積極的に取り組んできた。最先端の解析ソフトを用いて、次々にテストしているのだという。

岡田監督はマリノス時代から「ID」を重視していた。

 岡田がデータ分野に注目するようになったのは、何も最近のことではない。'03年に就任した横浜F・マリノスの監督時代には、国内データ会社のシステムを導入して相手分析に力を入れていたほど。まだ珍しかった走行距離測定など詳細なデータを引き出せる解析ソフトも1度、テストしている。当時はデータ会社の解析ソフトを用いたクラブなどほとんどなく、マリノスのシステム導入は画期的なことだった。岡田はその分野に早い段階から目を向けていた監督であったと言える。

 イビチャ・オシムが病で倒れ、代表監督に復帰したときもマリノスで分析を担当したコーチを日本代表に招いている。日本代表には分析の第一人者である和田一郎テクニカルスタッフがいるが、岡田はわざわざ重要分野としてテコ入れを図ったのだ。このことからも「ID」を重視する姿勢が見え隠れする。

【次ページ】 データは重視するが「数字に振り回されてはいけない」。

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