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フリーダイバー・篠宮龍三が見た、水深107mの“グラン・ブルー”。~脅威の日本新記録達成!~
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byIkuko Noda
posted2009/12/16 10:30
日本新記録107メートルを樹立した瞬間。日本人で初めてジャック・マイヨールを超えた男となった
「ジャックさんが訪れたグラン・ブルーのその先へ」
コンスタント・ウェイト・ウィズ・フィンの世界記録は、オーストリア人のハーバート・ニッチが持つ123メートルである。篠宮との間に横たわる16メートルの距離は、実際の長さ以上に遠い。深い。
ここから先の記録更新は、これまでよりもさらに過酷なものとなるだろう。トレーニングの成果を、記録として実感できない日々が続くかもしれない。
しかし、バハマから帰国した篠宮の身体には、その16メートルを埋めるためのメソッドが刻まれている。16メートルではなく20メートル先までも、彼の視線はとらえているのかもしれない。
「ジャックさんの背中を追いかける旅を終えて、またあらたなステージへ進んでいきたいと思っています。ここまでは彼に連れてきてもらったような気がしますが、これからはジャックさんが訪れたグラン・ブルーのその先へ、彼が潜ったことのない海の深みへ、フィン一枚で辿り着きたいと思っています」
篠宮龍三(しのみや りゅうぞう)
プロフリーダイバー。2008年4月バハマにて、アジア人初となる水深100mを達成。同年AIDA世界ランク2位入賞(-104m)。2009年4月にはジャック・マイヨールの自己最高記録である水深105mに純粋な素潜りのコンスタント種目で到達した。国内唯一のプロ選手として国際大会を中心に参戦中。競技活動の傍ら、沖縄でスクールや大会も運営。OneOceanを自身のメッセージに掲げ、様々なイベントをプロデュースしている(AIDA ジャッジ、AIDA インストラクター)。