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荒川静香を救った一言。
text by
田村明子Akiko Tamura
posted2007/01/11 19:54
MPCの会見ルームは混んでいた。日本のテレビ局6社が後方にカメラを設置し、一列目は報道カメラマンで占領されている。外国のメディアはいつもの顔ぶれだが、半分以上を占める日本人メディアのほとんどは見たことのない顔である。
「すごい熱気ですねえ。初めて来ましたけど、フィギュアスケートってすごいんですね」
背後から、日本語の会話が聞こえた。
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予定より20分ほど遅れて荒川静香、村主章枝、安藤美姫が壇上に現れると、カメラのフラッシュがいっせいにたかれた。司会はプレスアタッシュとして共同通信社から出向してきた竹内浩氏が務めた。彼が流暢な英語で会見が遅れたことを詫び、最初に英語での質問を15分受け、その後日本語の会見に移ることを説明した。
「日本の女子全体が急に強くなったのは、なぜなのか」
「シズカがモロゾフに移った正確な時期と、その理由を教えてほしい」
「ミキは、フリーで4回転に挑むのか」
海外メディアの質問は、村主以外はすべて竹内氏による通訳で回答した。日本語の会見に移ると、さらにたくさんの手が上がった。
私は荒川に、聞いておきたいことがあった。
「直前になって、SPの音楽をフリーで使っていたショパンに変えたのはなぜでしょうか」
荒川がフリーを以前使用した「トゥーランドット」に戻すことは、すでに公表されていた。だが会見の5日前の2月14日になって、SPの曲も変更することが発表された。当初フリーで使っていたショパンの「幻想即興曲」をSPで使用するという。
「前に使っていた音楽は、気に入っていました。でもフリップを跳ぶタイミングがどうしても合わなかった。音楽を編集しなおすことも難しく、新しい曲を選ぶ時間もありませんでした。それでフリーで使っていた音楽をSPに使うことにしたんです」
ジャンプのタイミングが合わないとは、具体的にどういうことか。
「ジャンプに集中しようと思っても、どうしてもリズムを聞いてしまう。リズムに合わせると、ジャンプのタイミングがずれてしまうのです」