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NBA最優秀コーチ、マイク・ブラウンが示す「勤勉と忠誠の価値」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byNBAE/Getty Images
posted2009/10/23 11:30
まわりの声を聞き、一歩引く。ブラウンの人心掌握術。
いい考えだと思えば、まわりのアドバイスも受け入れた。GMのアドバイスを受けてアシスタント・コーチたちにより大きな権限を与えたときもそうだ。若いコーチの場合、自分の立場を確立させるために必要以上に自分を主張しがちだが、ブラウンは違った。
「いつも選手に信頼を説いているのだから、自分がスタッフを信頼しているところを見せなくてはいけない」とブラウンは言う。
オーナーもブラウンの人柄に全幅の信頼を寄せる。
その結果、コーチ1年目からプレイオフ2回戦に進出。2年目にはNBAファイナルに進出。そして4年目の昨季はリーグ最多の66勝をあげ、最優秀コーチに選ばれた。
最優秀コーチ受賞に際して、キャブスのオーナー、ダン・ギルバートは言った。「彼ほど、この賞にふさわしい人間はいない。いい人でも一番になれるということを証明した」
「いい人はいつも勝てない」というアメリカのことわざが、覆された瞬間だった。
マイク・ブラウン
1970年、オハイオ州コロンバス生まれ。'92年にナゲッツの職員としてNBA入り。ウィザーズなどのアシスタント・コーチを経て、'05年に35歳でキャブスのヘッドコーチに就任。昨季は66勝を挙げ、4季連続のプレイオフ進出を達成