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<検証紀行・理想郷へ> FCバルセロナ 「メッシを授かったカタルーニャの至福」 

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2010/02/23 10:30

<検証紀行・理想郷へ> FCバルセロナ 「メッシを授かったカタルーニャの至福」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama
6冠を達成し、カタルーニャを歓喜に染めたバルセロナ。
その強さと美しさは盤石で、かつては魅力の一部だった脆さや危うさは顔を出さない。街の人々は、そしてプレーする選手は理想に近づくサッカーに何を思うのか。

 国王杯5回戦敗退――。その衝撃が覚めやらぬ1月16日、バルサはリーグ18節を迎えた。快進撃に黒星をつけた因縁の敵セビージャが、ふたたび行く手に立ちはだかる。冷たい冬の雨が降り続けるカンプノウで、6万人が寒さに震えながらピッチに目を凝らしていた。

 セビージャは、序盤からバルサ守備陣に圧力をかけた。だが、試合はやがて本来の構図に落ち着く。バルサが敵陣でボールを回し始め、セビージャは自陣に人垣を築いた。

 攻撃を志向するバルサは、必然的に密集する敵との戦いになる。押し込むほどゴールは近くなるが、目の前は敵ばかりになり、ゴールへの道筋は細くなる。

 16分、右サイドを駆け上がったアウベスが、ライン際のメッシにボールを預ける。この瞬間、メッシの周辺のピッチが風船のように膨らみ始めた。もちろん錯覚である。仲間がメッシから離れていったのだ。

 20m四方で、メッシと4人の敵が対峙した。仲間は遠巻きに見守っている。「さあ、任せたよ」と観戦しているかのように。

 メッシが横へ走る。ひとりかわして、縦に動き出したイブラヒモビッチへパスを送るが、ボールは惜しくもラインを割った。

 奥行きがなければ幅を使う、それが密集する敵に対するバルサの解決策だった。同時に選手の分布を変えてスペースを創り出し、メッシに4人の敵を託す。メッシなら4人でも切り崩せる。仲間は決定機に備えればいい。

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