冷静なカシージャスも抗議した、得点機の疑惑の判定。

　46分、中盤中央を縦にドリブルで突進したC・ロナウドがピケに倒され転倒した際、前方に流れたボールを追うマスチェラーノの足に体が触れてしまう。マスチェラーノはボールには追いつけないととっさに判断して転倒。その横でボールに追いついたイグアインがゴールネットを揺らしたものの、既に主審はプレーを止めていた。それもピケではなく、C・ロナウドのファウルをとったのだった。

　この試合で唯一犯したピケのファウルが見逃されると同時に、この試合で唯一レアルが手にした決勝進出への希望が奪われたのである。

　第1レグのペペ退場に続く決定的なバルサ贔屓の笛に対し、いつも冷静なカシージャスまでがテレビカメラに向かって何度も「恥知らず」と呟いた。

バルサの華麗な先制点で、息の根を止められたレアル。

　バルサの先制点が決まったのはその8分後だった。

　自陣ゴール前でマスチェラーノとパス交換したV・バルデスが、右サイドに開いたD・アウベスに浮き球のパスを送る。このパスでアタッカー4人によるプレスの第1ラインを突破したアウベスは、自陣に引いたメッシを追いかけて上がっていたカルバーリョを引きつけてから左のイニエスタへパス。この時点でレアルの最終ラインにはカルバーリョがいるべき場所にぽっかりとスペースが生じ、そこに侵入したペドロにイニエスタが絶妙のスルーパスを通した。それはGKの正確無比なビルドアップから生まれた素晴らしい崩しだった。

　レアルの勝機はこの時点で完全に尽きた。

　失点直後、イグアインに代わって入ったアデバヨールはハイボールのターゲットとして全く機能せず、無駄なラフプレーを繰り返して試合の雰囲気を悪くさせただけ。その5分後、カカに代わったエジルもやはり何もできなかった。

　64分にはこの日唯一フィニッシュまで持ち込むことに成功したボール奪取からのショートカウンターでマルセロが1点を返したが、それも選手達の士気を劇的に高める効果はなかった。

　ベンチ入り禁止中のモウリーニョに代わって指揮をとったカランカ第二監督は、最後の交代枠を使うことなく試合終了。結局、絶好調のベンゼマには最後まで声がかからなかった。

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