野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
神も仏も広島を応援している!?
好調の原因は「カープ坊主」にあり。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHONGWANJI/CARP
posted2011/04/25 12:35
浄土真宗本願寺派安芸教区広陵東組による「親鸞聖人750回大遠忌お待ち受け法要記念」ということで目出度くも誕生した「カープ坊主」。ちなみに実家が広島の浄土真宗本願寺派の寺である梵英心(2010年最多盗塁者賞、ゴールデングラブ賞)のことでは、ない
原爆からの復興のシンボルとして誕生した広島カープ。
11月28日の記念法要に合わせて、このカープ坊主がお目見えとなり、同時に制作した球団公認のステッカー1万枚と携帯クリーナーストラップ1500個、クリアファイルにもなるバッグ2000個のグッズ(非売品)は、一般のファンの間でも評判となり、あっという間に消えてしまう人気ぶりだった。
続いて12月11日は、実家が浄土真宗本願寺派の梵英心をはじめ、引退した高橋建氏、マスコットのスラィリーを招いてのイベントを開催。カープと坊主のコラボレーションは大成功のうちに幕を閉じたのだとか。
広島の復興のシンボルとして誕生し、チームが強い日も弱い日も、地域住民に町の誇りとして愛され続けるカープならではのコラボレーション。
しかし、こういう発想が出てくる浄土真宗もすごいが、許可するカープもすごい。毎度毎度、こういうカープ愛に溢れた話を聞く度に、いつも羨ましい思いに駆られてしまう。
安楽寺の住職曰く「(強い理由は)まず守備力の安定ですね」。
とはいえ、カープの開幕ダッシュに親鸞聖人の御加護を結びつける野球ライターなぞ、もはや念仏代わりに野村謙二郎の引退のセリフでも諳んじている生臭坊主のようなものだが、どうしても、今回のカープ好調のそれ以外の原因はやはりよくわからない。
ならば、こういった野球の結果に、神仏の御加護というのは果たしてあるのかどうかだ。同じく広島県東区にある安楽寺住職・登世岡浩雄氏に話を聞いてみた。
「そうですね。そのへんのところは何とも言えませんが……わかることは2、3あります。まず守備力の安定ですね。二遊間が“アライバ”に匹敵するほど飛躍的に成長した感がありますし、栗原も相変わらず巧み。外野は鉄壁ですし、怖いのはサードのトレーシーが思ったより動けていないことぐらい。新球場に備えて、数年がかりで鍛えたモノが、ここに来て実を結んだ気がしますね。ピッチャーにも心理的援護を与えてくれますし、大きなアドバンテージだと思います。もうひとつは、リリーフのコマ不足が解消されたこと。去年までは、先発がQS(クオリティスタート)できなければ、諦めてましたが、今季は豊田、サファテ、ルーキーの岩見の加入、そして青木高広の大化けが大きいですね。先発投手はマエケン1枚という状況は全然変わっていませんので、あとは、統一球が手に合う篠田がこのまま行ってくれたら、外国人先発がそこそこやってくれたら、大竹が復活してくれたらってなんて“たられば”頼みです。ポイントは投手が5人いる外国人の枠をどうローテーションと抹消期間で組み合わせてくるか。1シーズン使いこなせたら面白いことになるんじゃないでしょうか。あと打線の方も………」
……なんという、カープファン。
ちなみに現在、今回の活動に参加した浄土真宗本願寺派の住職有志でリアル「カープ坊主の会」というのを発足させる動きがあるのだとか。
カープ好調の原因にカープ坊主、ならびに親鸞聖人の御加護が影響しているかどうかはわからないが、こういう人たちのカープを愛する心が、少なからず選手たちの力になっていることは間違いない。