野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
神も仏も広島を応援している!?
好調の原因は「カープ坊主」にあり。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHONGWANJI/CARP
posted2011/04/25 12:35
浄土真宗本願寺派安芸教区広陵東組による「親鸞聖人750回大遠忌お待ち受け法要記念」ということで目出度くも誕生した「カープ坊主」。ちなみに実家が広島の浄土真宗本願寺派の寺である梵英心(2010年最多盗塁者賞、ゴールデングラブ賞)のことでは、ない
強さの秘密は「カープ坊や」ならぬ「カープ坊主」!?
「外国人が去年より打ってるから?」
「マエケンの存在に若手が触発されているから?」
「監督が動かないから?」
などなど最後に「?」がつく懐疑的な答えばかり。一番よく聞こえた意見が「たまたま」という超消極的な理由だったことからも、その快進撃の理由はファンにもあまり掴めていないようだった。
何かあるはずだ。頭を巡らせて考えてみる。偶然の産物でなければ、神仏の類の仕業か……。
そんな時、脳裏にある人物が浮かんできた。
後光が差していてよく見えない。あれは、誰だ? カープ……坊や? いや違う、カープ坊主だ。
広島の人が考えた『カープ、原爆、お念仏』。
カープ坊主。それはカープと坊主の奇跡のコラボレーション。
今年、浄土真宗は開祖親鸞聖人の750回忌という大きな節目を迎えることになるのだが、それに先立ち広島県の中心部にある浄土真宗本願寺派の50寺が中心となって、昨年11月に記念事業を開催することになった。
そこに誕生したのが袈裟を着、数珠をつけた「カープ坊主」だった。
すごい。
グッズ製作にかけては球界で右に出る球団はないと言えるほど、毎年シャレの利いた名グッズを生み出す広島カープ。最近でこそ選手を模した“○○坊や”ものは定番となってはいたが、まさかの坊主でくるとは……お釈迦様でも親鸞聖人でも、さすがに思うまい。
この「カープ坊主」を発案した浄土真宗本願寺派の住職は、誕生の経緯をこのように語ってくれた。
「大きな節目となる今回の親鸞聖人750回忌の記念事業で、代々広島に住む我々が何をテーマにするべきかと考えた時に、出て来たものが『カープ、原爆、お念仏』でした。他地域の方々にはちょっと奇異に映るかもしれませんが、私たちの住む地域は、浄土真宗の勢力が圧倒的に強く、被爆者の9割も本願寺門徒とも言われています。そして原爆で壊滅的な打撃を受けた安芸門徒が、荒廃の中から私たちの町に生まれたプロ野球チームと親鸞聖人の念仏の教えを心の支えにして、奇跡的な復興を成し遂げたというのが私たちの歴史認識にはあります。そのようなことから、この町で750回忌を迎えるに際し、『原爆とカープ』を避けてはならないだろうということになり、今回の運びとなったわけです。まぁ、結局、坊主も門徒もカープファンばかりなので、『ここはひとつ“カープ坊主”を作ろうか!』ということになったのですが」