SCORE CARDBACK NUMBER
預託料軽減で懸念される、
デフレスパイラルの可能性。
~競馬界に押し寄せる不況の影~
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byYoko Kunihiro
posted2010/02/03 06:00
賞金の減額、預託料の軽減など経済不況の波が押し寄せる競馬界。JRAは乗り切れるか
中央競馬の厩舎に馬を預けると、月額で約60万円の経費がかかる。馬の飼料代はせいぜい10万円程度なので、残りはほぼ人件費ということだ。JRAの場合、一人の厩務員が2頭を担当することが制度として決まっているので、その給料が2頭ずつの馬によって支えられている構図がおわかりだろう。もちろんそれだけではなく、調教師の管理料や技術料、調教専門の助手の報酬も、預託料の内訳に含まれている。
経済不況の影響なのだろう。この預託料を「高い!」という声が数年前から馬主会側から叫ばれている。その主張は、「2頭持ちを3頭持ちにしてくれたらいい。それだけで大幅に減額できるはずだ」というもの。なるほど、単純計算で10万円以上の値下げが期待できるアイディアではある。これに対して、当然のことながら労働組合側は「労働強化だ」として大反対を表明。事態はそれ以上の進展は望めないものと見られてもいた。