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スピードスケート、ベテラン2人の明暗。
text by
藤山健二Kenji Fujiyama
photograph byTakuya Sugiyama
posted2006/01/12 00:00
トリノ五輪までいよいよ残り1カ月半となった。各競技で続々と新鋭が名乗りをあげているが、ベテラン勢も頑張っている。その代表格が女子スピードスケートの岡崎朋美(富士急)だ。12月9日からトリノの本番会場で行われたW杯女子500mで、岡崎は2位と3位に食い込んで順調な仕上がりをアピール、完全復活を印象づけた。
'98年の長野五輪で銅メダルを獲得し、さわやかな笑顔で一躍国民的アイドルとなった。しかしその後は椎間板ヘルニアに悩まされ、'00年4月には手術も余儀なくされた。スポーツ選手の命ともいえる腰にメスを入れたのだから、本人にも相当の苦悩があったはずだが、今でも岡崎は「あの時は、朝起きたら痛みで起きあがることすらできなかったんですよ。悩むも何も、痛みで目が覚めて5分後にはもう手術を受けようと決めていました」とあっけらかんと話す。人生最大のピンチにも「手術したからダメになるとは限らない。何でもやってみなくちゃ分からないんだから」と考える前向きさが岡崎の最大の武器だ。前回のソルトレークシティーでは、ベストにはほど遠い状態ながら6位入賞。昨季のW杯カルガリー大会で5季ぶりの優勝を飾り、今季もここまでは順調にきている。「トリノは今までの競技生活の集大成。最高の滑りをしたい」という34歳のベテランが、本番でどんな滑りを見せてくれるのだろうか。