ここでは鍵山優真、佐藤駿の2人が表彰台にのぼった男子シングルについて、さらに長岡柚奈・森口澄士の「ゆなすみ」ペアが過去最高位の4位を獲得したペアについて、試合直後の選手の声も交えながら野口美恵さんに話をうかがった。
すべてにおいてバランスの取れた鍵山優真の演技
「鍵山選手のフリーが、全部終わってみるとあまりに素晴らしかったですね。『トゥーランドット』はオリンピックに向けて作ったプログラムでしたが、なかなか揃わなくて苦戦していました。しかもオリンピックの疲れとか、いろいろな感情的な難しさもある中で、世界選手権でここまで決めてみせたっていうのが、まさに鍵山選手の魅力でしたね」
野口さんの言葉通り、鍵山はFSの「トゥーランドット」をノーミスで滑り切り、ジャンプを含めたすべての要素で加点を獲得。212.87点を獲得し自己ベストを更新した。鍵山自身も感無量といった感があり、出し切り過ぎたゆえか、来季の休養を匂わせるような発言もあったという。

北京オリンピックの時の鍵山は、団体戦のFSで208.94点をマーク。シングルではSPで108.12点、FSで201.93点の合計310.05点を叩き出し、銀メダルを獲得。4年前に出した自らのスコアを長らく越えられずにいた。当時のFSでは4回転を4本跳ぶプログラム。今回は4回転を3本と本数を減らしたものの、クオリティを磨き続けて過去の自分をついに越えた。
「まさにこれが鍵山選手が目指していた戦い方なんだなと感じました。彼の目指すところでもあるし、国際フィギュアスケート連盟、フィギュアスケート界においての一番バランスの良いところがこのあたりだな、と私は感じてしまいますね」
ジャンプも滑りの質もすべてバランスよく揃っているからこそ、印象に残る演技となる、と野口さんは言う。それは9人中6人のジャッジが何かしらの項目で10点満点をつけていることにも表れている。
今期一番の成長を見せた佐藤駿
佐藤駿選手はミラノ・コルティナ五輪に続いて銅メダルを獲得。落ち着いたノーミスでの演技が光った。
「勝手にミスターパーフェクトと呼んでます。でも本人に『信頼感が出てきましたね』と聞いたら、『いや全然ないです』というんですよ」
本人はそう思っていないかもしれないが、こんなに安定して演じられる人はいない、と野口さん。4回転3本で完璧なものが演じられるところまで彼は成熟しており、しかも4回転ルッツについては練習の時はずっと調子が悪かったにもかかわらず、本番ではバッチリと決めてきた。
「今シーズン一番成長したのはたぶん佐藤選手ですね。メンタル面で成長したと思います。昨シーズンの全日本選手権の前に過呼吸になってしまったところから、試合への持っていき方をいろいろなアドバイスをもらいながら試行錯誤してきて、去年の世界選手権あたりから持っていき方が見えてきた感じですね」

もともとは「最終滑走なんて怖くてできません」というタイプだったのが、今回はSPの抽選を引く前に「最終滑走だといいな。一番緊張する順番だからこそ吹っ切れるので」とまで話すようになった。
三浦は「3枠目の難しさ」に直面
鍵山、佐藤両選手が素晴らしい結果を残す中で、三浦佳生選手はまさかのSPで25位となり、FSに進めなかった。体のどこかが悪かったというわけではないが、調子をどうして合わせられなかったのかわからない、と話していた三浦選手。野口さんは「3枠目を狙った選手」のピーキングの難しさを推し量る。
「全日本で3枠目を狙って、そこにピークを持ってこなきゃいけなかった選手にとってのシーズン後半は、また難しさが違うんですよね。鍵山選手、佐藤選手は今までの結果から行けば比較的順調にやればオリンピックにいける、という状態。三浦選手の方は全日本で勝ち取るぞといってきて、そこで本当にいい演技をしたというのがあります。実力的にはもちろんあるのはみんなわかっていますが、気持ちの持ち方が難しかったんだろうなというのはありますね」
来季は中田璃士選手がシニアに上がり、良きライバルも増える。「盛り上がった方が頑張れるタイプなので、来季も頑張ってくれると思います」
ポッドキャストでは他にも、以下の話題を話している。
- 佐藤駿選手の来季は4回転アクセルに期待?
- マリニンの優勝は「リベンジ」とは違う
- 今後日本選手のライバルになりそうな選手は?
- ゆなすみペアの滑りの魅力とは
- 自信のない長岡選手を森口選手が引っ張っていく
シーズンの締めくくりにふさわしい演技が見られた世界選手権。ポッドキャストで今一度素晴らしいシーズンを振り返り、余韻に浸ってほしい。(4月3日収録)
※ポッドキャストをお聴きいただけるのはNumberPREMIER会員限定で、このページ下部でご視聴いただけます。
プラン紹介
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
このシリーズの動画を見る
記事


