現地時間の2月6日から8日に行われたフィギュアスケートの団体で、日本は銀メダルを獲得。女子シングルFSでアメリカと同点となり、勝負は最後の男子シングルFSで決した。全員が持てる力を出し切った結果の銀メダル。選手の試合直後の声を中心に、現地から野口美恵さんに伝えてもらった。
「金メダルが見えるところまで来ていましたよね。オリンピックって、いいものも悪いものも含めて何があるかわからないところもあって。日本選手はみんな出し尽くして、まさかのイリア・マリニン(米国)がミスをしたりと予想外の展開が起きる中で、『団体戦ってこんなに盛り上がるんだ!』と興奮の3日間でしたね」
初日のアイスダンス・リズムダンスから幕を開けた団体戦。吉田唄菜・森田真沙也のうたまさペアが8位で発進すると、三浦璃来・木原龍一のりくりゅうペアがペアSPで世界歴代3位の82.84点で1位に。続く女子シングルSPでは坂本花織がシーズンベストの78.88点をたたき出して1位となり、日本は順位点23点でアメリカと2点差の2位につけた。


2日目は男子シングルで鍵山優真が完璧な演技で1位に。うたまさペアはフリーダンスで5位となり、トップのアメリカとの得点差は5点に広がった。

最終日はりくりゅうペアのFS、坂本花織の女子FSでともに1位となり、最終種目の男子FSを残してアメリカと同点に。日本の男子FSを託されたのは佐藤駿だった。佐藤は最終滑走でノーミスの演技を披露。だが、マリニンには及ばず男子FS2位となり、日本チームの銀メダルが確定した。
団体戦のクライマックスはなんといっても、佐藤の滑りにあった。オリンピック初出場で頂上決戦、自分のところで順位が決まるという大きなプレッシャー。
「本当ならマリニンに勝てるわけない、と思ってしまってもおかしくないような展開の中で、佐藤選手は最後の最後まで勝とうとしていたんです」と野口さんは秘話を明かす。
なんと、6分間練習が始まる直前に「4回転フリップを跳ぶ」と宣言し、6分間練習でも跳んでいたのだという。ジャンプとしてはもちろん練習はしているが、曲と合わせては今シーズン一度も練習していないジャンプだった。そもそも佐藤は堅実に練習を積み重ねていくタイプで、4回転はルッツ1本、トゥーループ2本をパーフェクトに決めていく、と1年間通してやってきた。現地では野口さんを含め、報道陣がみんなざわついていたという。日下匡力コーチは「決めるのは駿自身だから、自分が納得するやり方でやりなさい」と送り出した。
「普通に考えて無謀な計画なんですよ。しかも、いちかばちか、みたいなのをやるタイプの選手ではないわけです。それが『4回転フリップをみんなのために入れなきゃ』って覚醒したわけです」

結果的にマリニンにミスが続き、得点は200.03点。「これを見て、無理してというよりはパーフェクトにやって、200点に届く可能性もある、と微妙なところになりました。本人の中で最初の1本目のルッツをすごく綺麗に降りられた瞬間に、今日はパーフェクトにやって、それでどういう点が出るか挑戦しようという方に気持ちを切り替えてやったみたいですね」
最終滑走でノーミスの演技をして、ガッツポーズ。しかし点数的には及ばず、キス&クライで涙を流した。佐藤は言葉には出さないが、勝負に対する気持ちは強い選手。それが今回、チームで戦うことで行動にも現れた形になった。

団体戦はおまけではない。2つメダルをとってこそオリンピックーー。今回の日本チームの躍進は、北京五輪でのメダルから4年間、着実に確実に団体戦も見据えて取り組んできた成果だった。
ポッドキャストでは他にも、以下の話題を話している。
- 鍵山優真とマリニンの違いは「団体戦の経験の差」
- 北京の団体経験者が全員1位、準備してきた4年間
- 木原龍一が試合前にみんなにかけた言葉
- ライバル・アメリカの全力ぶり
- イタリアの観客は盛り上がりすぎ!?
- 個人戦につながる最高の結果
まさに「全員が主役」という素晴らしい演技を見せたチームジャパン。この勢いを個人戦にもつなげてほしい、全員に出し切ってほしいと思わずにはいられない。(2月9日収録)

※ポッドキャストをお聴きいただけるのはNumberPREMIER会員限定で、このページ下部でご視聴いただけます。
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