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「あの大変さを乗り越えることはもうできない」角田夏実が明かす引退までの“葛藤”と新たな“野望”「今はワクワクする気持ちでいっぱいなんです」《インタビュー》

2026/05/06
'24年のパリ五輪では代名詞ともいえる巴投げで頂点に立った。階級変更の葛藤も、積み重ねた日々も、長い旅路の結実につながった。そして夢を完遂した今、その視線は次のステージへ向けられている。(原題:[新たな地平へ]角田夏実「パリの金メダルは次章の扉に」)

「以前の自分だったらトレーニングやランニングなど、日々のルーティンをやらないという選択肢はなかったし、どれだけやっても完璧はない、常に何かが足りないと思いながら過ごしていましたが、一線を退いた今はそれほど追い込まれることがなくなりましたね。今は生きるのがすごく楽になったような気がします」

 引退会見から3カ月。パリオリンピック柔道女子48kg級金メダリストの角田夏実は、清々しい表情で語った。

「(1月下旬に)会見をしてようやく次のスタートへ気持ちを切り替えられたというか、行く先が明るく見えてきて。これから自分に待ち受けているもの、そして私に何ができるか、今はワクワクするような楽しい気持ちでいっぱいなんです」

 だが、引退を発表するまでのパリからの1年半は、続けるのか、それとも競技から退くのか、気持ちが大きく揺れた。

「今日は続けると思っていても、明日には辞めるとか、考えがコロコロ変わるんですよ。よく“どっちなんだよ”って自分に問いただしていました。それほど、はっきりしなかったですね」

 どちらに転ぶかは、当の角田にもまったく予想がつかなかったという。

「中途半端な気持ちでは試合に挑めない」

 パリの半年後に行われたグランドスラムでは優勝し、客観的に見ても、力が衰えているとは微塵も感じなかった。まだまだ絶頂期にある。次の'28年ロサンゼルス五輪も目指せるのでは、そんな期待を誰もが抱いたはずだ。だが、彼女は第一線を退く決断をした。それはなぜだったのか。そこには誰よりも冷静に分析する自分と、柔道家としての誇り高き美学があった。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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