NumberPREMIERでは箱根で“5強崩し”を狙う帝京大学を徹底解剖。近日中に島田晃希選手(4年)、楠岡由浩選手(3年)の動画インタビューも公開する。
「実は3位を目指そうと思っていたんです。出雲よりも全日本のほうが、彼らがどんどん調子を上げていたということもあったし、最終調整の時に『思った以上の力がついているな』と感じて。私も夢を見ていました」
全日本大学駅伝を振り返って、中野孝行はこう話す。大学での指導歴21年目の中野をして“夢”と言わしめたのが今季の帝京大学である。出雲8位、全日本6位。順位だけを見れば大きな飛躍ではないかもしれないが、今の帝京には上を目指せる空気がある。目標は「5強崩し」。優勝争いが予想される5強(青山学院、駒澤、國學院、中央、早稲田)の一角を崩す構えだ。
出雲では谷口颯太(3年)、原悠太(3年)に初駅伝を経験させ、3区に唯一の下級生・小林咲冴(2年)を配置。10000mの持ちタイムは29分42秒35ながら「将来のエース」と期待を寄せ、前半の重要区間3区を託した。結果は8位だったが、シード権争いのない出雲だからこそ選べた“未来への投資”をし、全日本、箱根、さらには翌年度以降へつながる収穫を得た。
見せ場を作ったのが11月の全日本だ。1区に抜擢された柴戸遼太(キャプテン、4年)が12秒差の12位(区間13位)で襷をつなぐと、2区で楠岡由浩(3年)が佐藤圭汰(駒澤大)に並ぶ区間タイ記録をマークし、区間賞を獲得。中央大・吉居駿恭(4年)にかわされ2位で襷を渡すことになったものの、一時先頭を走ってインパクトを残した。8区で順位を一つ下げ最終的には6位と「5強崩し」には一歩届かなかったが、“帝京大学ここにあり”を見せつけるレースだった。

「“5強崩し”と掲げるなら、5位を目指す練習じゃダメだよね。“崩す”ってことは優勝するチームに近いものじゃないとダメだよね」
中野の言葉に「優勝」が混じるようになったのは全日本の直後のことだ。動画インタビューでは、チームへの手応え、新戦力の台頭、去年の大エース・山中博生(現大阪ガス)が抜けた穴をどう埋めるかなど、今季の戦力について語っている。
「学生たちも積み重ねることの価値を少しずつ自覚」
「うちは比較的歴史の浅い大学です。箱根連続出場に関して言うと日体大の玉城先生に怒られちゃうんですけど、私はこだわっているんですよ。出続けることは難しいから。日体大が78年、駒澤が60年、早稲田が50年、東洋が24年、その次がうちの19年連続。積み重ねなんですよね。全日本も3年前に予選で落ちて、また1からだなって思ったら、学生たちも積み重ねることの価値を少しずつ自覚できているのではないかなと思います」
“積み重ねの価値”は、多くの場合、終わってからしか気づけない。積み上げている途中には、その厚みも、意味も、輪郭も見えない。あとから振り返ってやっと、積み重ねてきたものの偉大さを知ることになる。
「だから、今日ぐらいいいやっていうのは一切ない。ここに何千枚も重なったものがあったとして、1枚くらいなくても多分そんなにわからないんですけど、その1枚が大切だよねって。だから、今日はいいや、これいらないとかじゃない。1日、1時間、1秒は人生にとってほんのちょっと。でもそれがなかったら次がないんですよね」

動画では連続出場を続けることの難しさや価値のほか、以下のことを“中野節”で語っている。
- 小林咲冴(2年)は「将来のエース」
- 原悠太(3年)は「メンタル面の成長が大きい」
- “個が立って見える”裏にあるマネージャーの成長
- 「連続出場」にこだわる理由と、その重み
- 「悪いものがわかるから良いものがわかる」
- 今季のチームの強さはどこにある?
- 去年の大エース・山中博生の代わりになるものとは
イチローの「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道」にも重なる中野孝行監督の言葉の数々、ぜひ動画でご覧ください。中野監督へのインタビュー後半はこちらから。(11月12日取材)
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