今回は、12月4日から始まるグランプリファイナル、シニア女子について。昨年に引き続き日本女子vs.アメリカ女子という構図になった今回、抜け出すのは?「五輪前哨戦」ともいえる大会のゆくえについて語りました。
「とにかく大混戦ですよね。得点も大混戦で、順位も予想できない。このメンバーでオリンピックをやっていくだろうなという想像もできるので、まさに前哨戦という感じですね」
グランプリファイナルに進んだのは、日本から千葉百音、坂本花織、中井亜美、渡辺倫果の4人。アメリカからはアンバー・グレン、アリサ・リュウの2人です。女子は4回転を跳ばないぶん、けが人が少なく、選手たちの現在の状態がそのままオリンピックにつながっていくのでは、と野口さんは話します。
6人の中で今季世界最高点を持つのは、227.18点の坂本花織選手です。「ひねり出した世界最高」と野口さんは表現。中井亜美選手が初戦のフランス杯で出した227.08点を、NHK杯でわずか0.1点上回ってきました。
「まだまだ若手には譲らない!という気概を持ってやっていますよね。若い選手がこれだけすごい点数を出しても、気後れしていません。加えて、220点台を2回出せる安定感があり、230点台も十分圏内に入っているでしょう。ノーミスに加え、GOEのプラスを加え、235点から240点あたりを目指していると思います。もし他の選手がトリプルアクセルを完璧に入れてきても、自分のほうが勝てるように上積みをしていくでしょう」

先日の伊藤みどりさんのインタビューでも触れましたが、生で見ると坂本花織選手の演技の迫力、凄みは桁違い。ジャッジにもそれが伝わっているのは間違いないでしょう。
また、野口さんは坂本花織選手の演技の他の選手との「滑り込み感」の違いを強調します。最初から最後まで無駄な動き、間が一切ない演技は、まさに「フィギュアスケート」が求める選手の一つの完成形でもあります。「こういうタイプの選手が今年で引退しちゃうなんて…と思います。スケートってこういうものなんだよ、と見せてくれる選手がいなくなってしまうのは惜しいですね」
トリプルアクセルが6人中3人!どこまで挑戦をするか
今大会の6人の中には、トリプルアクセルを安定して跳べる選手が3人もいます。中井亜美選手、渡辺倫果選手、そしてアンバー・グレン選手です。トリプルアクセルは大技がゆえ、点数を大きく得られますが、その分失敗したときの点の取りこぼしも大きいもの。オリンピック選考に直結していく今大会、どれぐらいの挑戦をしてくるかも戦略の1つとして注目されます。
通常で考えたら全日本選手権の表彰台に乗ることが、代表への近道。しかし全日本選手権は国内大会であり、点数が公認されません。その意味で国際ジャッジの前で滑るグランプリファイナルで表彰台に入れば、オリンピックでも評価される可能性が高いということ。仮に全日本で4位、5位でも、ファイナルで表彰台に乗っていれば、選考の評価が高まる可能性は大いにあります。
「全日本をピークにあわせたいとは思いますが、ファイナルの表彰台を狙うとなると、ここにピークをあわせてくることも考えられますね」と野口さん。安全・安定か、挑戦か。各選手の今大会への姿勢も注目です。
さらに昨年世界選手権で優勝したアリサ・リュウも、休養前はトリプルアクセルを跳んでいました。現在は試合では跳んでいませんが、この大舞台でふたたび大技を解禁してくるのか?こちらも注目です。

ポッドキャストでは以下の話題でも盛り上がりました。
- 2大会で優勝、千葉百音の安定感
- 三者三様!トリプルアクセルの違いを楽しむ
- ファイナルに出ていない選手とも代表争いが…
- 「みんな選曲がうまい!」
- 最も伸びしろがあるのは誰?
誰が優勝してもおかしくない、1つのミスで下位に沈むこともありえる戦い。ワクワクドキドキしながら試合を待つ心境を3人で語り合いました。最高レベルの戦いを楽しみに待ちましょう!(12月1日収録)
※ポッドキャストをお聴きいただけるのはNumberPREMIER会員限定で、このページ下部でご視聴いただけます。
プラン紹介
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
このシリーズの動画を見る
記事


