太古の時代、ボクシングはプライズ・ファイトと呼ばれた。文字通り「賞金試合」である。
今でこそボクサーの報酬額は勝敗に関係なく予め決められているが、プライズ・ファイトの一時期には、ウィナー・テイク・オール方式(勝った者がみなもらう)が当たり前で、はるかにギャンブル性の高い競技だったのである。
ボクシングほど苛酷で敗者が惨めな思いを味わう競技はない。ジャック・ロンドンの小説に、貧しいファイターがすきっ腹で試合をし、負けたために一銭ももらえず、徒歩で帰途につくという、読んでいて飢餓感が募ってくる短編もあった。いつしか勝者にも敗者にも決められたファイトマネーを支払うのが主流となったが、その後も報酬とは別に勝者に賞金を提供する試合は行われてきた。
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