#1148
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作家・小川哲が考えたワールドカップはどうしてこんなに面白いのか?「アーセナルの強さは現代サッカーの合理性を突き詰めた部分にあるが…」

2026/07/27
準々決勝・ノルウェー対イングランドの試合後、互いを讃えあうアーセナルのウーデゴール(左)とライス

 僕が原稿を執筆しているのは、準々決勝が終わり、ベスト4が揃ったところなのだが、日本代表対ブラジル代表戦がもう何年も前の話に感じるほど、中身の濃い試合が続いている。ワールドカップは面白い。全試合面白い――というと若干言い過ぎかもしれないが、日本代表が敗退したあとも目が離せないほど面白い。

 どうしてこんなに面白いのか、僕なりに考えてみる。

 まず、普段ライバルチームにいる選手同士が、同じチームで勝利のために戦っている姿を見るのが面白い。呉越同舟というか、悟空とベジータの共闘というか、シーズン中に対戦相手としてしのぎを削っていた選手が協力し、ときにはアシストを決めたりする。その一方で、普段はチームメイトとして一緒に練習している選手がマッチアップをし、激しく削りあったりもする。そういう彼らが試合終了後に抱き合っている姿を見ると、結果にかかわらず感動してしまう。

アーセナルは現代サッカーの最先端

 次に、試合内容がそもそも面白い。僕は普段、アーセナルというチームの試合を中心に、プレミアリーグの試合を観ていることが多いのだが、良くも悪くもアーセナルは現代サッカーの最先端ともいうべき戦術をとっている。長年ヨーロッパのサッカーを観てきた一人のファンとして、ここ数年でサッカーの戦術が目覚ましい進歩を遂げていることはよくわかる。とりわけ守備戦術があまりにも洗練されていて、前線の選手が守備に加わった4-4-2、あるいは5-4-1のコンパクトなブロックは相手チームからするとスペースがほとんどなく、どれだけテクニックのある選手がいても、なかなかゴールを向いてボールを保持することができない(日本代表の強みの一つはこの守備ブロックの強固さにあって、ブラジル代表がなかなかチャンスを作ることができなかったのも記憶に新しい)。日々練習をしているクラブチームの戦術が洗練されていく中で、練習時間がそれほどない代表チームには良くも悪くも綻びがあり、個人技によって打開する余地が残されている(とはいえ、四年前のワールドカップに比べてみても、代表チームの戦術も洗練されてきているように感じる)。ワールドカップという舞台でスーパーゴールや美しいゴールが多く感じるのは、本来はこういうゴールを決めるだけの実力を持ちながら、戦術によってある程度封じられていた選手の実力が明らかになっているからだと思う。メッシもハーランドもケインもエムバペも、クラブチームの中心選手として活躍してきた選手なのだが、彼らに一瞬でも隙を与えると当たり前のようにスーパーゴールを決めてしまうという事実に改めて気がついた。

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photograph by Getty Images

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