夢舞台に初めて立つ表情は、晴れやかだった。待ちわびたホームでの開幕戦。迎えたのは、昨季プレミアリーグで7位と躍進したサンダーランドだ。Jリーグ時代から愛着を持つ背中の38番は変わらない。
かつては夢見ることもなければ、気にも留めていなかった。18歳でプロキャリアをスタートさせた松本、2年目でブレイクした水戸――そのどちらの町よりも「田舎すぎる」というイプスウィッチのホテルで、前田大然は静かな笑みを浮かべて振り返る。
「プロになってからも、プレミアリーグなんて、自分がとても到達できるレベルとは思っていなかった」
世界最高峰と呼ばれるステージに関心を持ったのは、つい4年前。フットボールが生活に溶け込むスコットランドでプレーを始め、気づけばテレビ観戦するようになった。同じ英国で時差がなく、日中にリアルタイムでチェックできる環境は大きかった。「大地くん」と呼んで慕うクリスタルパレスの鎌田大地をはじめ、日本代表の欧州組からよく聞かされていたのだ。
「何気ない会話のなかで『プレミアが一番だ』って。そこからですね。僕もここでプレーしたいと思うようになったのは」
セルティックのチームメイトからも同じようなことを耳にした。ビッグクラブのアーセナル、リバプールなどで長く活躍した元イングランド代表アレックス・オックスレイド・チェンバレンがしみじみ話す言葉は、より説得力があった。
移籍は「僕の中ではギリギリのタイミング」
今夏は欧州5大リーグへのステップアップを目指しつつ、夢の舞台と公言してきたプレミアリーグからの吉報を待ち続けた。浮かんでは消える噂話。現地の移籍専門サイトではブレントフォード、エバートン、ノッティンガム・フォレスト、フルアムなど多くのクラブ名が取りざたされていた。北中米ワールドカップ前、正式に獲得の申し出があったのは、同じ欧州主要リーグでもドーバー海峡を越えた国のもの。待てど暮らせど、希望するレターは届かない。米国で世界の祭典を終える頃には、さすがにしびれを切らした。
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