#1148
巻頭特集

記事を
ブックマークする

【決勝戦の舞台裏】獰猛なアルゼンチンを制したスペインは「ひと夏の祭りにおける、正当な勝者だった」《ワールドカップ現地》

2026/07/24
これでもかとばかりに趣向が凝らされた、23回目のW杯。選手の応援に運営への非難に、世界中から声が上がった。39日間、全104試合の熱戦に刻まれた、初出場国の健闘、怪物の圧倒的な個の力、新星の台頭、勝利への執念――。最後に頂に立ったのは愚直にスタイルを貫いた国だった。(原題:[16年ぶりの栄冠]スペインvs.アルゼンチン「獰猛さを制した甘美なタッチ」)

 ニュージャージーの青空の下で、スペイン代表の面々が金色の紙吹雪を浴びていた。大会最優秀選手に輝いたロドリがワールドカップを掲げる。最優秀若手選手となったパウ・クバルシは、カタルーニャ州旗を手にいつものはにかんだ笑顔を見せる。

 スペインが勝った時に流れる『SUPER ESTRELLA(スーパースター)』が夕刻のスタジアムを包んでいた。仲の良いラミン・ヤマルとニコ・ウィリアムスはリズムに乗り、踊りをやめない。

 帰路につく、落胆したアルゼンチンメディアの集団がいた。カルロス・テベスの姿もある。静かに、iPhoneで敗戦後の母国の反応を見ている。ひとりがつぶやいた。

「エスパーニャ、妥当な勝者だったな」

 120分間に及んだ決勝を制したのはスペインだった。

序盤からスペインがペースを握る。防戦一方のアルゼンチンはE・マルティネスの好守でピンチをしのぐも、90分を終えてシュート0。スコアレスで延長に入ると、106分、スペインはF・トーレスが決勝点。4大会ぶり2度目の優勝を遂げた
序盤からスペインがペースを握る。防戦一方のアルゼンチンはE・マルティネスの好守でピンチをしのぐも、90分を終えてシュート0。スコアレスで延長に入ると、106分、スペインはF・トーレスが決勝点。4大会ぶり2度目の優勝を遂げた

「マルカ」紙は第一報の中で、自国が見せた内容を誇り、こう記した。

『勝っただけではない。これはフットボールを救う勝利でもあった』

マンハッタンの「History, again?」

 決勝の朝、マンハッタンで目にしたのはアルゼンチンカラーの空色の光景だった。

 セントラルパークの緑のなか、昼夜問わず灯される七番街のネオンの下、空色のユニフォームはその存在を街に刻んでいた。

「History, again?(もう一度、歴史を作る?)」

 タイムズスクエアの巨大スクリーンに、最後のワールドカップになるであろうリオネル・メッシの広告がひときわ輝く。

後半アディショナルタイム、アルゼンチンのフェルナンデスがクバルシにタックル。2枚目のイエローで退場に Getty Images
後半アディショナルタイム、アルゼンチンのフェルナンデスがクバルシにタックル。2枚目のイエローで退場に Getty Images

 大勢のサポーターの声を背に浴びながら今大会のアルゼンチンは勝ち上がってきた。決勝でも戦い方は徹底していた。メッシを頂点に、走り、忠誠心ある戦士たちを配備。時に荒々しく立ち向かい、10番の才能がほとばしる瞬間にすべてをかける。

全ての写真を見る -5枚-
特製トートバッグ付き!

「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Kaoru Watanabe / JMPA

0

0

0

関連
記事