#945
巻頭特集

記事を
ブックマークする

「目標という限界を決めたくない」宇野昌磨、20歳の思考法を解き明かす…ミスが多いことも本人の筋書き通り?<アーカイブ記事/2018年>

初めての五輪へと続く今季。20歳の若者は試合ごとに4回転の構成を変え、無謀なジャンプに挑戦するなど、試行錯誤を繰り返してきた。それは、限界を決めずにもっと成長したいから。彼独自の「成功への思考法」を辿りつつ、大舞台へ向かって進化を続ける姿を追う。(初出:Number945号 [五輪に挑む思考法]宇野昌磨「目標という限界を決めない」)

 子供の頃から「目標を決めない」というのが信条だった。

「今の最善のことをやる。より上を目指す。現状に満足しない。それだけのことです。目標を決めてそこを目指すんじゃなくて、限界を決めないでもっと成長しようと思い続けたいんです」

 これが宇野昌磨流の「成功への思考法」なのだ。だからこそ宇野は「目標」という言葉を使わないよう、敏感に反応してきた。

 ところがオリンピックシーズンを迎えるにあたり、数々のメディアから「オリンピックの目標は?」と聞かれた。「目標を立てない」が信条なのだから、宇野も返答に困ってしまう。仕方無く、こんな答えを繰り返していた。

「僕は今シーズンに特別な思いをかけていません。僕にとってオリンピックという舞台が、出たことも無いので、色々と言われてもピンとこないんです。大きな試合ということは自覚していますが、そこに照準を合わせるのではなくて、オリンピックは今後の自分の成長のための通過点です」

 この「オリンピックは通過点」というセリフは、今季の彼を語るキャッチフレーズになった。もちろん、決してオリンピックを軽視している訳ではない。誤解されないように、いつもこんな風に言葉をフォローするのも忘れなかった。

「僕は自分がその時に思ったことをそのまま言ってしまうんです。だから、今季の試合でも毎回言う言葉が変わっていくと思いますが、それは、その時の自分の変化なんだ、成長なんだと思って見てくれればと思います」

特製トートバッグ付き!

「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Asami Enomoto

4

1

7

この連載の記事を読む

もっと見る
関連
記事