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《独占直撃》新加入のCY賞左腕…ブレイク・スネルが語る“エンゼルス”大谷翔平との駆け引き「自分はまだ成長途上だからドジャースに」

2025/03/20
昨季、世界一に輝いたドジャースに頼もしい戦力が加わった。両リーグでサイ・ヤング賞受賞の実績を誇る32歳の大型左腕はその洗練された投球術で何をもたらすのだろうか。大谷、山本との浅からぬ関係や、新天地での思いを大いに語った。(原題:[エース左腕を直撃]ブレイク・スネル「大事なのは打者を観察する眼だ」)

 ダグアウトからマウンドに上がる瞬間がたまらなく好きだ。舞台にスポットライトが当たり、そこに立った瞬間、視界に入るのは打者と捕手、そして球審だけだ。

 サイ・ヤング賞を2度受賞しているブレイク・スネルはその状況をこのように表現する。

「ゾーンに入ったら何も聴こえない。音楽も観客の声も。聴こえるのは自分の呼吸だけだ」

 193cmの長身から繰り出される球は鋭く打者の懐に食い込んでいく。

 思わず振ってしまう選手、手が出ず見逃す選手、それぞれの反応を見ながらスネルは投球を組み立てる。

「大事なのは打者を観察する眼だ。何を待っているのか。強みや弱点は何か。ほんの少しの仕草や反応でそれを読み取ることができる」

「データはあくまでも参考程度」と語る理由

 データが重視される昨今、大リーグの各チームは試合前に相手を徹底研究し、ゲームプランを決めて試合に臨む。しかしスネルはそれに異を唱える。

「データはあくまでも参考程度だ。人間同士の対決なのだから、データよりも打者の反応を見るべきだ。いい投手は皆、自分と同じ考えだと思う。向き合うべきはデータではなく、目の前にいる打者なんだ」

 卓越した観察眼はメジャー9年間で平均11.23という高い奪三振率に表れる。

193cmの長身を生かしたリリースポイントの高さで勝負する。昨季、手薄になっていた先発陣において理想の大型補強だ Yukihito Taguchi
193cmの長身を生かしたリリースポイントの高さで勝負する。昨季、手薄になっていた先発陣において理想の大型補強だ Yukihito Taguchi

 高い位置から投げ込まれる速球、動きのあるスライダー、落差の大きいカーブ、そしてチェンジアップの4つの球種を巧みに操り、特にストライクゾーンの低めを振らせる技術に長けている。

「試合ごとにコンディションも軸になる球も変わる。でも打者との向き合い方はどの試合も変わらない」

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photograph by Nanae Suzuki

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