
先輩2人の振る舞いが、23歳の後輩への揺るぎない信頼を物語っていた。
3月4日、米アリゾナ州グレンデールで行われたレッズ相手のオープン戦。「米国デビュー戦」に臨んだ佐々木朗希が、登板を終え、左翼後方のクラブハウスへ戻って来た時、すでに大谷翔平、山本由伸の姿はなかった。同じ試合に大谷は「1番DH」で出場し、山本は先発して4回を投げていた。周囲は「侍トリオ」の豪華競演に注目し、日米両国で生中継されるほど脚光を浴びた。ところが、途中交代した2人は佐々木の初舞台を最後までベンチで見守ることなく、ダッグアウトを後にしていた。
先発山本の後を受け、5回から登板した佐々木は3回2安打無失点5奪三振と文句なしのデビューを飾った。先輩2人の交代後、その間、1時間足らずだった。クラブハウス内のテレビモニターで試合の映像は流れていたものの、シャワーを浴び終えた大谷と山本は、佐々木が日米報道陣に対応する前に、早々とロッカー室から駐車場へ向かっていた。そんな通常の光景と何ら変わらない初登板を、佐々木は茶目っ気交じりに笑顔で振り返った。
「僕の登板後には誰もいなかったので、寂しかったですけど……」
メディア、ファンからの高い注目度をよそに、大谷と山本が「心配無用」とばかりに家路を急いだのも、佐々木の能力を知り尽くしているからに違いなかった。
携帯電話には、20球団以上から問い合わせが
昨年12月10日、佐々木が正式にポスティング申請の手続きを終えて以来、メジャーのストーブリーグでは、一斉に「争奪戦」の行方に注目が集まっていた。選手に支払う契約金や年俸の総額が制限される「25歳ルール」が適用される佐々木の場合、マイナー契約でもあり、高額資金が必要とされないため、代理人ジョエル・ウルフ氏の携帯電話には、20球団以上の編成責任者から問い合わせが相次いだ。
続きの内容は…
- 佐々木が語った「一生に一度の機会」とは?
- 「時期尚早」との批判すらささやかれた。
- 電撃結婚発表後の会見で見せた様子とは?
会員サービスの詳細はこちら

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
記事