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「誰もいなかったので、寂しかった」大谷翔平、山本由伸は“心配無用”とも…佐々木朗希のアメリカでの3カ月を追う《ドジャース》

2025/03/18
NPB通算成績は29勝15敗も、完全試合達成など才能を見せつけた
日本球界で最高のポテンシャルを秘める剛腕のメジャー挑戦が決まると全米が話題騒然になった。「令和の怪物」の争奪戦からオープン戦初登板まで慌ただしく過ぎた約3カ月間の日々を追った。(原題:[23歳の挑戦]佐々木朗希「一生に一度の機会を」)

 先輩2人の振る舞いが、23歳の後輩への揺るぎない信頼を物語っていた。

 3月4日、米アリゾナ州グレンデールで行われたレッズ相手のオープン戦。「米国デビュー戦」に臨んだ佐々木朗希が、登板を終え、左翼後方のクラブハウスへ戻って来た時、すでに大谷翔平、山本由伸の姿はなかった。同じ試合に大谷は「1番DH」で出場し、山本は先発して4回を投げていた。周囲は「侍トリオ」の豪華競演に注目し、日米両国で生中継されるほど脚光を浴びた。ところが、途中交代した2人は佐々木の初舞台を最後までベンチで見守ることなく、ダッグアウトを後にしていた。

 先発山本の後を受け、5回から登板した佐々木は3回2安打無失点5奪三振と文句なしのデビューを飾った。先輩2人の交代後、その間、1時間足らずだった。クラブハウス内のテレビモニターで試合の映像は流れていたものの、シャワーを浴び終えた大谷と山本は、佐々木が日米報道陣に対応する前に、早々とロッカー室から駐車場へ向かっていた。そんな通常の光景と何ら変わらない初登板を、佐々木は茶目っ気交じりに笑顔で振り返った。

「僕の登板後には誰もいなかったので、寂しかったですけど……」

 メディア、ファンからの高い注目度をよそに、大谷と山本が「心配無用」とばかりに家路を急いだのも、佐々木の能力を知り尽くしているからに違いなかった。

携帯電話には、20球団以上から問い合わせが

 昨年12月10日、佐々木が正式にポスティング申請の手続きを終えて以来、メジャーのストーブリーグでは、一斉に「争奪戦」の行方に注目が集まっていた。選手に支払う契約金や年俸の総額が制限される「25歳ルール」が適用される佐々木の場合、マイナー契約でもあり、高額資金が必要とされないため、代理人ジョエル・ウルフ氏の携帯電話には、20球団以上の編成責任者から問い合わせが相次いだ。

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photograph by Yukihito Taguchi
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