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【証言】イチローから「ちゃんとやってよ」…教えを受けた智辯和歌山の4選手はドラフト候補に「甲子園決勝でもイチローの言葉を思い出した」
2025/02/17

2020年12月、初めて高校生を指導したイチローは最後に一言「ちゃんとやってよ」とメッセージを残した。あれから4年、選手たちはその言葉を胸に成長を遂げていた。(原題:[教えを受けた高校生の今]濃密な3日間から4年が経って)
「ずっと僕、見てるから」
イチローが宣言し、少しの間をおいて選手たちにも約束を促す。
「ちゃんとやってよ」
2020年12月4日。高校生を初めて指導したレジェンドからのメッセージは、あまりにもシンプルだった。
智辯和歌山のエースだった中西聖輝が当時を振り返り、顔をほころばせる。
「最後の言葉って、それだけで終わったんですよ。だから、その時は『ちゃんとやってよ、かぁ……ちゃんとやってるけどなぁ』ってあまりピンとこなかったというか」

中西のように、多くの選手がイチローからの激励に困惑していた。
だが、イチローによって息吹を注がれたその言霊は、じわじわと響いていく。4番バッターを担っていた徳丸天晴が脱帽する。
「自分も最初は『あ、あぁ……はい』みたいにスッと入ってこなくて。でも、日を追うごとにあの時の言葉を思い出してくるというか。イチローさんのワードセンスのすごさを感じています」
生のイチローは映像で見る以上に体つきに厚みがあった。凜とした立ち姿。颯爽とした走り方。一挙一動に無駄がなく、ウォーミングアップから真剣さが伝わってくる。
1年生キャッチャーだった渡部海は、その姿勢に感化され、自分を顧みたという。
「高校の時って練習がメインだと思っていて、アップとかってそこまで重点を置いていなかったんですけど、イチローさんはそこから躍動感があって。『メジャーでも超一流になる人は、一つひとつの動作にこだわりがあるんだ。自分もそうならないとダメだな』って参考になりました」
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photograph by Naoya Sanuki
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