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【証言】イチローから「ちゃんとやってよ」…教えを受けた智辯和歌山の4選手はドラフト候補に「甲子園決勝でもイチローの言葉を思い出した」

2025/02/17
全体ミーティングで選手たちに語りかけるイチロー
2020年12月、初めて高校生を指導したイチローは最後に一言「ちゃんとやってよ」とメッセージを残した。あれから4年、選手たちはその言葉を胸に成長を遂げていた。(原題:[教えを受けた高校生の今]濃密な3日間から4年が経って)

「ずっと僕、見てるから」

 イチローが宣言し、少しの間をおいて選手たちにも約束を促す。

「ちゃんとやってよ」

 2020年12月4日。高校生を初めて指導したレジェンドからのメッセージは、あまりにもシンプルだった。

 智辯和歌山のエースだった中西聖輝が当時を振り返り、顔をほころばせる。

「最後の言葉って、それだけで終わったんですよ。だから、その時は『ちゃんとやってよ、かぁ……ちゃんとやってるけどなぁ』ってあまりピンとこなかったというか」

中西聖輝 Masaki Nakanishi 2003年12月18日生、奈良県出身。智辯和歌山高では2年秋から主力投手。3年夏の甲子園で優勝投手に輝いた。青学大進学後、3年秋に先発の柱として台頭。明治神宮大会でも好投を見せ、大学四冠に貢献した。182cm、90kg Shiro Miyake
中西聖輝 Masaki Nakanishi 2003年12月18日生、奈良県出身。智辯和歌山高では2年秋から主力投手。3年夏の甲子園で優勝投手に輝いた。青学大進学後、3年秋に先発の柱として台頭。明治神宮大会でも好投を見せ、大学四冠に貢献した。182cm、90kg Shiro Miyake

 中西のように、多くの選手がイチローからの激励に困惑していた。

 だが、イチローによって息吹を注がれたその言霊は、じわじわと響いていく。4番バッターを担っていた徳丸天晴が脱帽する。

「自分も最初は『あ、あぁ……はい』みたいにスッと入ってこなくて。でも、日を追うごとにあの時の言葉を思い出してくるというか。イチローさんのワードセンスのすごさを感じています」

 生のイチローは映像で見る以上に体つきに厚みがあった。凜とした立ち姿。颯爽とした走り方。一挙一動に無駄がなく、ウォーミングアップから真剣さが伝わってくる。

 1年生キャッチャーだった渡部海は、その姿勢に感化され、自分を顧みたという。

「高校の時って練習がメインだと思っていて、アップとかってそこまで重点を置いていなかったんですけど、イチローさんはそこから躍動感があって。『メジャーでも超一流になる人は、一つひとつの動作にこだわりがあるんだ。自分もそうならないとダメだな』って参考になりました」

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photograph by Naoya Sanuki

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