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[渾身の147球がくれたもの]イチローvs.女子高校選抜「真剣勝負にキャッキャして」

2022/04/14
その初球を目の当たりにした監督は、「みんな三振するかも」と不安に襲われた……。手加減など一切なし、レジェンド渾身の豪速球を体感した彼女たちが学び得たものとは。

《イチロー氏の草野球チームが女子高校選抜とエキシビションで対戦》

 昨年12月某日、ヤフーニュースの見出しを見て全国の女子球児たちが目を丸くした。

「あれ? 今度私が行くヤツじゃん!」

 イチロー&女子野球のプロジェクトは、半年前から極秘裏に動き出していた。直前までイチローの名は伏せられ、女子野球連盟は強化合宿の名目で、女子の硬式野球部を持つ高校の指導者に「卒業後もハイレベルな環境で競技を続ける3年生を1名推薦してください」と呼びかけていた。そうして集まった23人が急遽、イチローと高校生活最後の試合を戦うことになったのだ。

 卒業を控えた彼女たちにとって、30も年が離れたイチローは“歴史上の人物”に近い。

 福知山成美高から福井工大に進んだ捕手、神野百花が教えてくれた。

「私にとってイチローさんは、幼いころから大好きな川﨑宗則選手が尊敬する選手というイメージ。WBCの決勝でも、川﨑選手の次のイチローさんが決勝タイムリーを打ったのを憶えています。私はキャッチャーなので、その日からどうやってイチローさんを抑えようか考えるのが楽しくなって」

 そして12月18日、イチローの草野球チーム「神戸智辯」と女子高校選抜の対戦がほっともっとフィールド神戸で実現する。

 1回表、イチロー投手の初球を見て、女子選抜の監督、中島梨紗は目が点になった。

「試合前に挨拶したとき、あまりの寒さに“今日は130km出ないかも”と話されていたんです。それがいきなり134kmですから。女子野球には130を投げる人はいなくて、120を超えたら十分速い。なので“みんな三振するかも”と不安になって」

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photograph by Naoya Sanuki

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