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【阪神タイガース】「一軍二軍の入れ替えはリーグ最少」データが示す岡田彰布による“変革”の内実…四球率向上の「功罪」とは?

2024/12/06
後半戦、驚異的な打撃成績でチームを牽引した森下翔太
連覇こそ逃したものの、その勝負強さに疑いの余地はないだろう。四球、スタメン固定、最強投手陣。シビアな虎党たちも唸らせた、岡田タイガースを支えた勝利の土台を、多角的データで総ざらい。(原題:[データカプセル]数字が示す変革の2年間)

1 四球への意識の功罪

 監督就任時にフロントに四球の査定ポイントを上げるよう求めるなど、出塁への意識の高さは岡田阪神の特徴だった。四球数の激増に伴い、'22年に中日と並んでリーグワーストの.301だった出塁率は'23年にはリーグトップの.322、'24年もトップの.314を記録。四球率に注目すれば、'22年が6.7%だったところ、'23年は9.0%、'24年は8.3%と改善。ボールゾーンスイング率も'22年の32.0%から'23年は28.6%、'24年は30.5%と減っており、積極的に四球を獲りに行く姿勢は打席でのアプローチにもよく表れている。(①)

 打つ球を慎重に選ぶ姿勢は「ファーストストライクスイング率」の低さにもつながった。これは、最初のストライクに対するスイングの割合を示したもの。'22年は42.1%だったが、'23年は33.5%、'24年は31.0%と年々低下。この数値は、過去20年のランキングで見ても、1番目と2番目に低かった。(②)

 一方で、ストライクを“振らなすぎる”傾向はかえって打率低下や相手投手の積極的なゾーン内勝負を招く側面もあり、'24年の阪神打線が得点力に苦しむ要因となった可能性は否定できない。

 岡田阪神での四球への意識の変化を象徴する選手としては、中野拓夢があげられる。1番や2番の打線上位で打つことが多く、'22年は四球率が3.0%、出塁率が.301、ボールゾーンスイング率も35%近いなど、フリースインガーと言える数字だった。しかし、'23年は四球率が8.6%、出塁率も.349と大きく改善。ファーストストライクスイング率は'22年は29.7%だったものの、'23年にはリーグで最も低い7.5%。2位と約10ポイント差をつけており、いかに最初のストライクを振らなかったかがわかる。しかし、'24年は打率が.232、出塁率が.297にとどまるなど苦しんだ。これは昨年から続いた四球への意識が裏目に出た結果とも言える。(③・④)

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photograph by Kiichi Matsumoto

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