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【SF野球小説】もし1995年仰木オリックスと、1999年星野ドラゴンズが戦ったなら…岩瀬仁紀の「イチロー対策」は?

2024/09/16
実は直接対決のない仰木・星野の名将二人が、時空を超えてドリームマッチでガチ勝負!中日相手に仰木マジックが炸裂するのか?はたまた星野の気合がオリックスをねじ伏せるのか?(原題:[SF野球小説]時空大戦 1995年のオリックスvs.1999年のドラゴンズ)

「今日の4番はニール(1)……いや、中嶋(2)でも面白いか」

 1995年9月20日早朝。銀座のとあるクラブ。今、店の中で正気を保っているのはめっぽう酒に強い(3)この男だけ。オリックス・ブルーウェーブの監督、仰木彬である。

 前夜の西武球場(4)で、球団創設7年目にして初のリーグ優勝を決めた祝宴。戦友たちはみな眠りこけている。仰木は傍らのクラッチバッグから分厚いノート(5)を取り出し、さまざまなデータやコーチからの提言を眺めつつ、あれこれオーダーを考える(6)

「いや、高嶋(7)やな……これでいこ」

 優勝翌日の試合のスタメンも決まった。

「さて、最後の一杯や」

 仰木は勝利に酔った夜を締めくくるべく、焼酎をお湯で割り、グラスの中に大葉を一枚浮かせる(8)。その刹那、視界が歪んだ。

「な、なんや……!」

 薄れゆく意識の中、なかば本能でノートを抱え込んだ途端、目の前が暗転した。

「ハッ!」

 眠りから覚めた仰木の目に入ってきたのは、見知らぬ男だった。

「驚かせて申し訳ありません」

 言葉をかけられた仰木は、なぜかユニフォーム姿で答える。

「肝機能の数値は、そんなに悪うなかはずやけどね」

 ニヤリと笑った男に、コミッショナー・吉國一郎(9)の名前と「㊙」印が押された封筒を渡される。開けると電話番号が一つだけ。もう一つ渡されたおもちゃの電話のような小さな機械(10)のボタンを押すと、コール音が3度鳴って「どうも、お待ちしておりました」とやけに快活な男が出た。

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photograph by Tomoya Osoegawa(Illustration)

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