東京五輪銀メダルの立役者は1年間の「人生の夏休み」を経て、さらにたくましく、しなやかに成長してコートに戻ってきた。チームがピンチに陥ると積極的に声をかけ、仲間を鼓舞する唯一無二のムードメーカーが、パリ五輪への熱い思いを明かす。(原題:[連載 パリへ翔ける 最終回 金メダルへのキーパーソン]馬瓜エブリン「ムードメーカーはしなやかに燃える」)
日本中を熱狂させた東京五輪の銀メダルから3年。バスケットボール女子日本代表の中軸に成長した馬瓜エブリンが、パリ五輪での金メダル獲得を目指し、より高い次元で戦う準備を整えている。パワフルなドリブルと強い気持ちを武器とする29歳は、日本チームのムードメーカーとしても絶大なる存在感を発揮。今回は妹・ステファニーと姉妹そろっての5人制バスケ出場ということもあり、大いに意気込んでいる。
「唯一無二」のタスクを遂行して得た銀メダル。
「銀メダルを獲った東京五輪は本当に良い経験でした」
エブリンがしみじみ言うように、トム・ホーバスHC(現男子日本代表HC)が率いた東京五輪の日本は、試合を重ねる毎に強くなっていく素晴らしいチームだった。
準々決勝のベルギー戦では残り15秒で逆転に成功し、86-85で初のベスト4進出。勢いをつけて臨んだ準決勝では難敵のフランスを87-71で退け、男女通じて初のメダルを確定させた。大会最終日に行なわれた決勝戦では、五輪の団体競技最多記録タイとなる7連覇を達成した米国の前に屈したが、大会を通じて見せた全力プレーやドラマチックな展開は、無観客での開催となった東京五輪に爽やかな感動を巻き起こした。
エブリンは、コートの5人全員が3点シュートを打つ「5アウト」の戦術で世界に挑んだ日本チームにおいて、「リングにアタックしてファウルをもらい、フリースローを獲得するという役割」(エブリン)も与えられていた。彼女自身が「唯一無二」と表現する特別なタスク。それを遂行しての銀メダルは誇らしくもあった。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by AFLO