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「今永は今永のままだから成功」カブス・今永昇太が持つ「ボール2個分」の投球術と“鈍感力”《仁志敏久・多村仁志がW解説》

2024/06/28
30歳を迎えてMLBに挑戦した今永昇太
30歳を迎えて海を渡ったオールドルーキーは、開幕5連勝、月間最優秀新人賞など快進撃を続ける。早くも米ファンの心を鷲掴みにする哲学者の活躍の秘訣を2人の解説者が詳らかにする。(原題:[強打者を封じる投球術]今永昇太「ボール2個分高めに」)

 快投に次ぐ快投。MLB挑戦1年目となったシカゴ・カブスの今永昇太は、3、4月の『ルーキー・オブ・ザ・マンス』に選出されるなど、その怜悧なピッチングで強打者たちを手玉に取っている。

「想像以上の出来栄えだと思いますね」

 こう感嘆して語るのは、昨年まで今永が所属していた横浜DeNAベイスターズでファームの監督を務めていた仁志敏久氏だ。仁志氏は昨シーズンで3年間務めた監督を退いたが、故障や調整によりファーム施設でトレーニングをしていた今永とコミュニケーションを取っており、その人間性を理解している。もちろん、投球内容の秀逸さゆえにMLBで通用しているわけだが、仁志氏は“投げる哲学者”と呼ばれる今永独特の気質もMLBへのアジャストを促したと見ている。

Yukihito Taguchi
Yukihito Taguchi

「何事に対しても常識的」な今永のままだから成功した。

「メジャーは日本以上の分析データやアナリストからのアドバイスがあると思うのですが、彼の性格上、言われたことをするだけではなく、それをきちんと咀嚼し、考察をして、理解を深めマウンドに立っていると思います。それがいい方向に出ている。彼はいろいろな情報を受け入れるタイプですが、かといって鵜呑みにはせず、そこは日本の時と変わらないと思いますね」

 インプットは多分にするが、そこから自ら創意工夫をして最適解を求める。NPBとは風土の違うMLBであっても“今永は今永のまま”だから成功しているのではないかと、自身も現役時代、米独立リーグに挑戦したことがある仁志氏は考える。

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photograph by Yukihito Taguchi

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