大将――私や我が家の両親は、家では彼のことをそう呼んでいました。
急性心不全で倒れてから、その後遺症などで7年間にわたる闘病生活でしたが、4月にこの世を去りました。
葬儀が終わって、私も3人の子どもたちも日常に戻っています。長女はミネソタ州にいて、長男はハワイ。次男は日本。昨日は長女の誕生日で、「お父さんがいない誕生日は初めて。やっぱり心に穴が開いている」と言っていました。
葬儀はハワイ式と日本式をミックスしたスタイルでした。大将は生前、知人のお葬式に参列するたびに「日本式は暗い感じがして嫌だ。僕の時はハワイ式でにぎやかにしてほしい」と話していました。だからみんなアロハ姿で、ウクレレやギターの生演奏があったり、フラを踊ったり。彼の叔母が棺に花を入れた時、叔母のパンツのゴムが切れて落ちちゃったんです。「きっとチャド(曙の本名)のいたずらね!」って、いたずら好きだった大将らしいなと思って、みなで泣き笑いでした。
お骨はふたつに分けて、ひとつは日本に、もう半分はハワイに持って帰り、海か山に散骨すると思います。
You can take the boy out of Hawaii, but you can't take Hawaii out of the boy.
ハワイの少年に島を離れさせることはできても、ハワイの心は少年の中にずっと残る、という言葉です。彼はやはり故郷への想いが深く、「ハワイよりも日本にいるのが長くなってしまうのは嫌だな」と言っていました。18歳で来日して、日本にいる年月のほうがずっと長くなってしまいました……。いつかはハワイに戻って残りの人生を過ごしたかったのでしょう。
全ての写真を見る -9枚-「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています