あ・うんの呼吸?
日本代表で長くボランチでコンビを組んだ長谷部誠とのピッチ上の関係性をパブリックイメージで振ってみると、遠藤保仁は、違うなとばかりに首をひねった。
「最初から合っていたらそんな表現でいいんじゃないかと思いますよ。でも長谷部とは初めのほう、やりづらかったんですよね。結構、様子見でやっていたんで」
『水戸黄門』の助さんと格さん、『あぶない刑事』のダンディー鷹山とセクシー大下、そして遠藤と言えば長谷部。外から眺めればこんなにしっくりくる名コンビはない。構成力と俯瞰力に優る「7」と、機動力と推進力に長けた「17」。前者が柔なら後者は剛であり、お互いの特長を最大限に活かし活かされつつの補完関係が、絶妙な塩梅で成り立っていた。だが二人の“蜜月”が、やりづらさから始まっていたのは意外というほかなかった。
「ここでもそうするのか」やりづらさを感じた当初。
遠藤と長谷部が先発からダブルボランチを組むようになったのは、岡田武史体制下の2008年6月の南アフリカW杯、アジア3次予選のオマーン戦。3カ月前にアウェイでバーレーンに敗れる“失態”があり、メンバーを大幅に入れ替えて臨んだ背水の陣でもあった。この年からヴォルフスブルクでプレーするようになった長谷部も岡田ジャパンに招集されるようになった。ホームに迎えたオマーンを攻守に圧倒して3-0と快勝したことで「ヤット&ハセ」が定着していくことになる。
「岡田さんも(イビチャ・)オシムさんのチームをリスペクトしながらやってきたなかで、バーレーンに負けて“自分のやり方でやる”みたいな感じになった。ホームでしっかり勝つために敢えて攻撃的にして、ハセと僕を並べたんじゃないかと」
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