#857
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「ブラジルW杯で最も心残りなのは…」長谷部誠が痛感した日本代表“ナーバスの落とし穴”とは?【独占インタビュー/2014年】

2024/06/05
2014年ブラジルW杯ではグループリーグ敗退に終わった
自分たちのスタイルを模索し続けた4年間の集大成となるはずだった。なぜ力を出し切れぬまま3試合でブラジルを去らなければならなかったのか。ザックジャパンを支え続けた主将が説明責任を果たすべく真相を明かした。(初出:Number857号長谷部誠に問う 連載最終回 ブラジルW杯を戦い終えて「僕たちにはこの経験を伝える責任がある」)

 ブラジルW杯での心残りは何か? 

 そう問われたらいろいろなことが頭をよぎる。4年間のすべてをかけて臨んだ大会で結果が出なかったときに、すぐに頭を整理するのは簡単ではない。大会後にあれこれ言うのは、ただの言い訳になってしまうという思いもある。

 けれど、僕たちが経験を伝えなければ、次の世代は生かすことができない。言い訳になってしまうのを承知で、ブラジルで経験したことを話したい。

間延びしてしまったのは、ボランチの僕の責任。

 ブラジルW杯で最も心残りなのは、やはり初戦のコートジボワール戦だ。もっとうまく試合に入れていれば、1対2で逆転負けを喫することはなかったと思うからだ。

 コートジボワール戦では、立ち上がりから日本のプレスがうまくハマらなかった。前線の2人(本田圭佑と大迫勇也)がボールを追う一方で、僕たちボランチとDFラインが後ろに下がってしまい、前と後ろの距離が離れてしまったのだ。

 コンパクトさを失ったらプレスはかからない。なぜ全体で連動できなかったのか……。W杯の初戦ということで、自分たちでも気がつかないうちに、ナーバスになっていたのかもしれない。

 この初戦では、いろいろな要因が絡み合っていたと思う。僕たち守備陣の頭の中には、「トップ下のヤヤ・トゥーレを抑えなきゃ」という意識が強くあり、さらにサイドにはジェルビーニョという強烈なFWがいた。その2人のケアのために、自分たちの守備ラインを低くしてしまった。

ギリシャ戦では初戦よりも攻守に積極的なプレーを見せたが、スコアレスドローに終わる ©Itaru Chiba
ギリシャ戦では初戦よりも攻守に積極的なプレーを見せたが、スコアレスドローに終わる ©Itaru Chiba

 ただし、その一方で「相手のDFラインでボールをまわされている分には恐くない」とも感じていた。こちらはしっかりとゴール前にブロックを作れていたし、ヤヤ・トゥーレとジェルビーニョをフリーにしていなかったからだ。プレスはかからなくても、正直やられる気はしなかった。

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photograph by Atsushi Kondo

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