今年の桜前線は、稀に見る本命不在の混戦模様。裏を返せば、妙味を秘めた胸キュンな馬ばかり。令和の世にあってもロマンティックが止まらない穴党ライターが、気になるあの牝馬にズームイン!
昭和の競馬ファンが現在にタイムスリップして今年の桜花賞の出走表を眺めたら、「なんで“ぶっつけ”の有力馬がこんなに多いんだ?」と目を丸くするだろう。そしてあーだこーだと検討を重ねた挙句、こう頭を抱えるに違いない。
悩ましいにもほどがある!
有力と目される女王候補が五指に余る今年の桜花賞。クラシックの開幕を飾る3歳牝馬たちの戦いは「なやほど」の混戦ムードに包まれている。
「2歳実績組」の悩ましい評価。
混戦ではあるけれど、「2歳時の実績馬vs新興勢力」というレースの構図自体ははっきりしている。このうち、前者を代表する存在は鋭い決め手を冴え渡らせて新馬、新潟2歳S、阪神ジュベナイルフィリーズ(JF)と3連勝、無傷の戴冠を果たした2歳女王アスコリピチェーノだ。
阪神JFの勝ちタイム1分32秒6は、前日に行われた古馬のオープン特別リゲルSより0秒4、翌週の朝日杯フューチュリティS(FS)より1秒2も速かった。馬場状態や道中のペースに左右される走破時計はあくまで、馬の能力を示す指標のひとつに過ぎないが、レースのレベルは非常に高かったと評価できる。
ただ、ゴール前で猛然と追い込んだ2着ステレンボッシュとの着差はクビ。「あの一戦で勝負付けは済んだ」とは誰も思わないだろう。ダイワメジャー産駒らしく、早い時期から高い完成度を誇ってきたアスコリピチェーノに対し、ステレンボッシュは3歳春以降に開花するタイプが多いエピファネイア産駒。アパパネ、アーモンドアイと2頭の牝馬三冠馬を手掛け、“勝ち方”を熟知している伯楽・国枝栄調教師の管理馬でもあり、逆転の計算は十分に成り立つ。
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