#1037
巻頭特集

記事を
ブックマークする

[この名牝がスゴかった!]つば九郎「つよくてかせぐアーモンドアイ」

2021/10/09

「にんきは1ばん。ばけんも1ばいだい。たった2ふんで、“おく”をかせいで、かえってくる。つよくて、かせげるじょしにあこがれます」

 プロ野球・東京ヤクルトスワローズの人気マスコット、つば九郎がアーモンドアイを推す理由は単純明快だ。圧倒的に強く、確実に稼げる。GIレースを総なめにしてきた本命馬が出走するたびに「あーもんどあいに、ぜんぶ!」と、競馬資金を注ぎ込んできた。

「すきな(♀の)たいぷは こふうなひと」と公言する独身のツバメ(♂)が、正反対の“強い牝”に恋したのにはきっかけがある。あれは3年前、ゴールした直後のアーモンドアイのただならぬ様子に目が留まった。

「はしりおわったあとに いつも みずあびをしてた。ときには ひょうしょうしきもさぼって みずあび……」

 乙女の沐浴を眺めまわすとは不届きだが、その不埒な視線の先に、名牝の真実の姿が浮かんでいた。というのも、知り合いの競馬記者から「アーモンドアイはレースを終えるといつも倒れるくらい消耗していて、体の熱を下げるために水をかけないといけない」という話を聞いたからだ。

「いのちがけで いっしょうけんめい はしる あーもんどあい。そのはなしをきいて だいすきになった。うしろからさすれーすも おおくて ここをこじあけてくるのかよ! って。みていていつも わくわくする」

 '18年秋華賞、ジャパンカップ、'19年安田記念……。レースのたびに馬券を買い、“あーもんどあい ちょきん”は着実に増えていった。'20年には、ヤクルトの小川泰弘投手がスイスの時計ブランドのアンバサダーをつとめる縁から、クリストフ・ルメール騎手とつば九郎のトークショー企画が浮上。コロナ禍で立ち消えたが、野球好きだというルメールからは、'20年天皇賞・秋をアーモンドアイで制した際の記念キャップと「いつかお会いしましょう」というメッセージが届いたという。

会員になると続きをお読みいただけます。
オリジナル動画も見放題、
会員サービスの詳細はこちら
特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by AFLO

0

0

0

前記事 次記事