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【特別インタビュー】なぜイチローは50歳で140kmを投げられたのか?…「目標」の決め方と「ドキドキするって大事」の深い意味

2024/03/07
独占インタビューに応じたイチロー
昨年は投手として高校女子との試合で最速を更新し、甲子園出場に届いていない2校を訪れて背中を押した。常に「目標」を設定して挑んできた野球人生で、喜びも悔しさも味わった自身の経験を語る。

――イチローさんは「目標」という言葉をどんなふうに捉えていますか。

「自らを高めていくために不可欠なものと捉えています。基本的には遠くに設定するものと、近くに設定するものの2つがあり、日々意識するのは近くにある目標で、それをクリアしていくことで遠くにある目標に近づいていく、そんなイメージです。これってよく耳にする話ですよね。でもやってみると結構難しいんですよ。ひとつ言えるのは、遠くの目標だけを見ているといずれは挫折します。難しいけど頑張ればできる距離感を大事に、僕は形にしてきました。

 どんな人でも突き詰めれば“元気でいたい”が目標になるのではないでしょうか。だって元気がなきゃ何にも向かっていけないし、つまらないですからね」

プロへ行くことを優先し、“できるだけ練習しない”がモットー。

――その都度、細かく目標を設定するタイプだったと思いますか。

「振り返ると、僕は中学生のときに大きな賭けでしたが周囲の反対に抗い、学業を捨てて野球を選びました。そして(愛知県の)東邦高校と愛工大名電高校のどちらに行こうかと考えたとき、甲子園なら東邦、プロへ行くなら名電だと思って、名電を選んだ。甲子園出場ではなく、プロへ行くことを優先して進学先を決めたその選択は、子どもながらに目標設定ができていたからこそだと思っています」

――結果的には名電に進んで、甲子園出場もプロ入りも両方、叶えました。

「高校では、プロへ入ってからのことを考えて“できるだけ練習しない”をモットーに過ごしました。変わってますよね。でも自分なりの信念があって、高校のレベルで必死にやってようやく、でプロに入ったところで、活躍なんてできないと考えていたんです。

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photograph by Naoya Sanuki

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