プロスポーツ史上最高額の超大型契約でドジャース入りしたが、今季は故障明けで“二刀流”は封印し、打者に専念。それでも昨季本塁打王への期待は高まるばかりだ。大きな重圧の中で果たしてその価値を証明できるのか。
「翔平が打撃に集中することが成績にどう関係するかはわからないが、いい影響をもたらすことは間違いないと思う。体調面では快適に感じているに違いない。ビッグシーズンが待ち受けていると信じられるよ」
ロサンゼルス・ドジャースのキャンプ地でデーブ・ロバーツ監督が残したそんな言葉を聴き、2024年シーズンが余計に楽しみになったファンは多いのではないか。
今オフ、ドジャースと「10年7億ドル」という途方もない契約を結んだ大谷翔平は昨年9月、右肘の手術を受けたため、少なくとも今季中は投手としての出場は叶わない。DH専任で打撃に集中できるうえに、ドジャースではムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンといったMVP経験者をはじめとする多くの“プロテクション”に恵まれる。エンゼルス時代と比べて勝負を避けられるケースも激減し、自分の打撃ができるようになるだろう。そういった背景から、今季はこれまで以上の出場試合数、打撃成績が期待できるという見方が一般的な認識になっている印象がある。
少なくとも40本塁打、100打点、20~30盗塁。
そこで気になるのは、今季の大谷はどの程度の成績を目標とすべきなのかという点だ。本人に目標を問えば「世界一」という答えが返ってくるはずだが、史上初の7億ドルプレーヤーには一定の個人的な貢献が求められる。昨季、打率.304、44本塁打、95打点、OPS1.066といった見事な打撃成績を残した29歳が今季、指標とすべき数字はどの程度なのか。逆に言えば、今オフの補強策の目玉となった背番号17がドジャースのファン、関係者から求められているのはどういった成績なのか。
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photograph by Yukihito Taguchi