50mバタフライ決勝。7月の世界選手権代表選手選考会を兼ねた日本選手権、池江璃花子はこの種目に懸けていた。
いつにも増して緊張の波が押し寄せる。50m種目に緊張は大敵だ。
「力んじゃダメ、力んだら終わり」
心の中でそう唱えてスタート台に上がると、ひとつ大きな深呼吸をして、合図とともにプールに飛び込んだ。
病気から復帰後、ずっと課題だったスタートがうまくいった。水中でのドルフィンキックはいつもは8回だが、「8回で10mくらいしか進まないのはもったいない」との考えから、1回増やした。ドルフィンキックをしながら「焦ってはダメだ」と言い聞かせる。頭を出すと、少し遅れをとっているが、追いつける自信はあった。大事なのは25mまでに体勢を整えて、後半の25mに臨むこと。まさにそのあたりでトップに立つと、ノーブレスのまま1位でゴール、派遣標準記録を突破した。
「ラスト5m、バテてしまってテンポを上げられなかったけど、25秒台前半(25秒41)で泳げたのは嬉しい。タッチがもっと合っていたら、派遣I(25秒32以内、世界選手権での3位以内相当)を切れていたので、すごく悔しいです。ドルフィンキックの回数は、そもそも自分は遅い方なので元に戻そうと思います」
50mバタフライは、日本選手権で過去6回優勝している種目で、短水路(24秒71)、長水路(25秒11)ともに日本記録を保持している得意種目だ。これまで出場したオリンピックでは種目外だったが、2028年のロス五輪では、種目に採択され(正式決定は日本選手権後の4月10日)、それが池江の大きなモチベーションとなっている。
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※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
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