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【天皇賞・秋を読む】プログノーシスは少しずつ、確実に、完成形に近づく。<“常勝軍団”中内田厩舎の「情報と感覚の共有」とは?>

2023/10/26
GI馬3頭が参戦した夏の大一番・札幌記念では4馬身差で圧勝し、秋のGI戦線へ強烈な存在感を放った。5歳にしてキャリアはまだ10戦と伸びしろは十分。遅れてきた大物が虎視眈々と初のタイトルを狙う。

 秋光に映えるワインレッドの一団が颯爽と闊歩していく。90の厩舎が軒を並べる栗東トレーニングセンターにおいて、そのカラーリングは唯一無二。直近6年で4度のJRA最高勝率を記録する“常勝軍団”中内田充正厩舎だ。開業10年目の今年は、三冠女王リバティアイランドを先頭にリーディング首位も視界に入る。馬上で指揮を執る44歳が深紅に溶かした思いを明かす。

「他の厩舎で使っていなかったのはあります。ワインもそうですし、格式の高い色。競馬界でも(ともに王族の)シェイク・モハメドやカタールレーシングが勝負服に使っています。厩舎として格式を上げていきたいという思いがありました」

ポテンシャルは高いが、体が耐えきれなかった。

 今や風格をも漂わせるトップステーブルで、葡萄酒さながらに熟成されてきたのがプログノーシスだ。その評価をより高からしめたのが8月の札幌記念。短い夏の陽光を浴び、鹿毛の馬体が芳醇な輝きを放った。雨上がりで馬場適性の差も出たとはいえ、携わる誰もが「状態は完全ではなかった」と実感する中で、GI馬3頭を相手に4馬身差の圧勝を果たして見せた。

 その祝杯は労苦の賜物でもある。主戦騎手の川田将雅が端的な言葉で表現した。

「ポテンシャルは非常に高いんですが、それを発揮するのがとても難しい馬なので」

 素材は一級品だった。英国のGIウイナーの半弟にあたるディープインパクト産駒。ギリシャ語で「予知」を表す馬名の通り、その背に乗れば明るい未来が感じられた。中内田も「正直、デビュー前から期待していました」と見通していた。

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photograph by Masakazu Takahashi(Studio Leaves)
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