甲子園春夏連覇を成し遂げた横浜。松坂フィーバーはとどまることなく、一挙手一投足が報じられるようになる。そんな喧騒の中、地元・神奈川県開催の国体終了後に運命のドラフト会議を迎える。
PL学園との延長17回に渡る激闘が準々決勝、準決勝では奇跡の大逆転劇、決勝戦ではノーヒットノーラン――あまりにドラマチックな3日間を経て春夏連覇を達成した怪物投手は、あっという間に日本中の注目の的となった。松坂大輔の日常は夏の甲子園を終えて、一変してしまう。
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センバツで優勝したときも周りはザワザワしていました。でも、夏が終わってからの騒がれ方は春とは比べものにならなかったですね。言葉は乱暴ですが、当時は正直、『めんどくせえな』と思っていました。夏の甲子園が終われば普通の高校生みたいに遊びたいというのが本音で、学校が終わったら横浜駅へ出て、ファストフード店でハンバーガーとか食べて、カラオケに行ってL'Arc~en~CielとかGLAY、ミスチルを歌って……でも、そういうことがいちいち報道されるんです。
サインの書き過ぎで腱鞘炎になったとか、髪を切りに行きましたとか、それこそ授業中に寝てたごっちゃん(後藤武敏)のもみあげをイタズラでバッサリ切っちゃった、なんて話まで出てましたからね。わざわざ取り上げるような話じゃないだろうと思っていましたし、鬱陶しいと感じていた覚えはあります。あの頃はメディア対応も何が正しいのかわからなかったし、求められるままに答えていた気がします。僕も勘違いしていたところがあったかもしれませんが、たまに昔の囲み取材の映像が出てくると「この子、恐ろしいこと言ってるな」と思ったりしますからね(苦笑)。
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photograph by Kiichi Matsumoto