コスタリカに、まさかの敗戦。ドイツ戦の劇的勝利で最高のスタートを切ったはずが、地獄に突き落とされた。チームを生き返らせるために、自分にできることは何か。キャプテンが、再びの歓喜への4日間を振り返る。
本来ならば、2連勝をお祝いする和やかな場になるはずだった。11月27日、コスタリカとのグループステージ第2戦終了後、日本代表メンバーは、宿舎で久しぶりに家族と対面する予定になっていた。
ところが、対面場所である宴会場には、気まずい空気が流れていた。戦力面を考えれば、確実に勝ち点3が欲しかった試合で、まさかの敗戦。スタジアムからホテルに戻るチームバス内は、沈黙に包まれた。取材が長引いたため別の車両でホテルへ戻った吉田麻也も、押し黙ったままスマホの画面を見つめていた。そこには失点につながるパスミスを犯した自身や、三笘薫へのパスをなかなか出せなかった伊藤洋輝らを糾弾する速報記事が映し出されていた。
宴会場には、選手とその家族ごとにテーブルが用意されていた。まだ気持ちの整理がついていないキャプテンも、重い足取りで「吉田家」の席へ向かった。
そこに、敗戦のショックを吹き飛ばす“救世主”が待っていた。
「だるまさんがころんだ、やろう~!」
6歳になったばかりの娘から、まさかのリクエスト。傷心でも、優しきパパが断るわけにはいかない。宴会場の片隅で、「ころんだ!」。そーっと近づく愛娘に向かって、懸命に笑顔を作ってみせた。
「試合に勝ったとしても、負けたとしても、僕がミスをしたとしても、子供にとっては変わらない。空気を読まないですからね(笑)。でも、そんな娘や家族に会うことで、頭の中をニュートラルにできるんです」
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photograph by JFA/AFLO