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[ホプキンスからヘイニーまで]熱望する4団体統一の真価とは?

2022/06/18
日本人初の3団体統一を果たした怪物が切望する4王座の独占。残り1つのベルトを奪えばアジア勢初となる階級最強の証明は、これまでどのように実現してきたのか。4種類のベルトを手にしたチャンピオンの変遷をたどる。

「4団体統一という目標に向けて、ここは通過点に過ぎない」

 井上尚弥はドネア戦を3日後に控えた6月4日の記者会見でこう語っていた。かつて行われたWBSSはその目標を実現するチャンスだったが、当時WBOバンタム級王者だったゾラニ・テテが途中離脱したこともあり、優勝しても野望は実現せず。今もやり残した仕事として胸の中で熱く燃えている。

「唯一無二」の存在でありたいと願うチャンピオンはいつの時代にもいるもので、彼らが目指すのがWBA、WBC、IBF、WBOの4団体統一チャンピオンという栄誉である。

 世界戦のマッチメークに詳しいジョー小泉氏に統一チャンピオンについての感想を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「チャンピオンの本来の定義は『最強者、覇者』であり、4団体を制圧してこそ真のチャンピオンといえる。その意味で、最近各階級で王座統一の機運が高まっているのは選手、およびファンが向かうべき必然的ベクトルといえる」

 1988年に4つ目の団体WBOが設立されて以降、今日まで4団体の王座統一を成し遂げたのは僅か8人にすぎない。第一号は今から約18年前、ラスベガスで行われたミドル級統一戦でオスカー・デラホーヤを倒したバーナード・ホプキンスだった。

「死刑執行人」を自称し不気味な殺し屋スタイルがトレードマークのホプキンスはこの時39歳でWBA、WBC、IBFの3団体のタイトルを保持。30歳で最初に手にしたIBF王座はこれが19度目の防衛戦という歴戦の強者だった。相手のWBO王者デラホーヤは対照的なエリートで、'92年のバルセロナ五輪ライト級で金メダル獲得。不振の米国ボクサーの中でひとり勝ちしてゴールデンボーイと騒がれ、プロ転向後も期待通り華々しい活躍で成功をおさめたヒーローである。

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photograph by Getty Images

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