一時は黄色信号が灯ったW杯出場権獲得。暗雲を切り裂いたのは、川崎にルーツを持つ者らの創造力だった。その源泉を、クラブ前監督の風間八宏、レジェンド・中村憲剛、現主将の谷口彰悟の3人がひもとく。
偶然か必然か。
同じルーツをもつ男たちが森保ジャパンのありようを変えつつある。いや、すでに変えたと言うべきか。
序盤で大きくつまずき、修羅場と化したカタールW杯アジア最終予選。そこで日本に新たな風をおこし、本大会出場の動力源となったMFの守田英正と田中碧は、同じ古巣で研鑽を積んだ仲だ。
川崎フロンターレである。
過去5シーズンで実に4度のJ1制覇を成し遂げた最強軍。守田と田中はその一翼を担い、その後ヨーロッパへ渡っている。最終予選で2人が初めてスタメンに抜擢されたのがオーストラリアとの第4戦。そこから日本は破竹の6連勝で巻き返し、カタール行きの切符をたぐり寄せた。
日本の窮地を救った「フロンターレ組」は守田と田中だけではない。交代の切り札として躍動した左ウイングの三笘薫、主将の吉田麻也ら主力の不在時に先発で起用されたセンターバックの板倉滉と谷口彰悟、右サイドバックの山根視来もそうだ。
しかも、彼らがユニットを組んだケースの効果は絶大だった。難敵サウジアラビアとの第8戦では守田、田中、谷口、板倉がスタメンに名を連ね、2-0で快勝。さらに本大会出場を決めたオーストラリアとの第9戦では守田、田中、板倉、山根が先発したうえ、終盤に投入された三笘が派手に立ち回り、2ゴールを奪った。
彼らを使えば使うほど、人数を増やせば増やすほど、好結果が日本に転がり込んできたわけだ。この『フロンターレ・エフェクト』とはいったい、どこから来るのか。
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photograph by Miki Sano