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[ソダシ最大のライバル]ユーバーレーベン&岡田繁幸「執念の物語は永遠に」

2021/10/07
ウイニングランでスタンド前に来ると、デムーロは天を指差し、つづいて鞭を差し上げた
“馬を見る天才”が作り上げた血の結晶たる少女は、クラシックという悲願をもたらした。牝馬の結実に馬づくりの深淵を見ながら、夢は次代へと確かに受け継がれている。

 今年5月23日に行われた第82回オークスを制したのは、ミルコ・デムーロが騎乗した3番人気のユーバーレーベンだった。デムーロはレース後、天を見上げ、その2カ月ほど前に世を去ったマイネル軍団の総帥・岡田繁幸に勝利を報告した――。

「マイネル」の冠で知られるサラブレッドクラブ・ラフィアンにとっても、生産者のビッグレッドファームにとっても、これが初めてのクラシック制覇であった。これらのクラブと牧場を創設したのも、ユーバーレーベンの父ゴールドシップと、母の父ロージズインメイを種牡馬として導入したのも、岡田だった。そう、ユーバーレーベンは、「馬を見る天才」と言われた岡田の夢と情熱が生んだサラブレッドなのである。

 ユーバーレーベンの3代母マイネプリテンダーは、1995年11月12日にニュージーランドで生まれた。同馬に関して、岡田の長男で、現在サラブレッドクラブ・ラフィアンとビッグレッドファームの代表をつとめる岡田紘和はこう話す。

「父は外国から1歳馬を買うにしても、まず牡馬しか買わなかったんです。ダービー制覇に執念を燃やしたように、牡馬ばかりを気にかけていましたから。私の知る限り、父が外国から買ってきた1歳牝馬はこの馬が初めてです。そのくらい、特別に惹かれるものがあったのだと思います」

 マイネプリテンダーは美浦・稲葉隆一厩舎に所属し、4戦1勝2着3回という成績で引退。ビッグレッドファームで繁殖牝馬になった。初仔マイネヌーヴェルは3連勝でフラワーCを制し、3番仔マイネルネオスは中山グランドジャンプ、4番仔マイネルアワグラスはシリウスS、5番仔マイネルチャールズは京成杯と弥生賞を優勝。

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photograph by Photostud

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