ドイツに栄光をもたらした長期政権が幕を閉じる。
今年3月、2006年からドイツ代表を率いてきたヨアヒム・レーブが、EURO後の退任を発表した。15年に渡る指揮は、西ドイツにW杯初優勝をもたらしたゼップ・ヘルベルガー(計20年)に次いで2番目の長さ。'08年EURO準優勝、'14年W杯優勝、'17年コンフェデ杯優勝など輝かしい成績を残してきた。
しかし、退任を惜しむ声はほとんど聞こえてこない。ここ3年半、情熱のタンクが空になったかのように迷走しているからだ。
'18年W杯では優勝候補と言われながら、メキシコと韓国に敗れてまさかのグループステージ敗退。直後に始まったUEFAネーションズリーグではオランダとフランス相手に1勝もできずA組最下位に沈む。
'19年3月、ミュラー、フンメルス、ボアテンクを構想外にして世代交代を図ったが、リーダーが不在になり、'20年11月にスペインに0対6で惨敗。今年3月末のW杯予選では格下の北マケドニアに敗れるという大失態を演じた。
小さなプライドにこだわっている場合ではない
だが見方を変えれば、世界の頂点に立った者たちには、成功モデルを捨てるために必要な「再生期間」だったのかもしれない。
キミッヒ、ゴレツカ、ニャブリ、ズーレら'95年生まれの選手や、サネ、ベルナーら'96年生まれの選手が批判にさらされてタフになり、ドイツ伝統の闘争心を身につけつつある。
戦術面でも模索を続け、4-3-3、3-5-2、3-4-3など複数のシステムを採用。結果こそ伴わなかったが、スペイン戦ではオールコートのマンマークに、北マケドニア戦では左サイドバックのゴセンスが攻撃時にFWになる可変システムに挑戦した。
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