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<強豪校ゆえの苦悩> 森友哉「連覇の重圧に耐えたから」

2020/08/06
この年、明徳義塾との3回戦で大阪桐蔭は森友哉(左)らの失策も絡み序盤に5失点。岸潤一郎(現・西武)に完投を許した。
前年の春夏連覇を支えた大阪桐蔭の絶対的正捕手は、その最後の夏、3回戦で甲子園から姿を消した。球界を代表するスラッガーへと成長したいま明かす、日本一という使命を背負った主将としての葛藤とは。

2013年8月17日 3回戦
大阪桐蔭 1-5 明徳義塾
先頭打者ランニング本塁打の流れに乗りたい大阪桐蔭だったが森らの失策も絡み序盤に5失点。岸潤一郎(現・西武)に完投を許した。

 騒然とした空気のグラウンドに目をやると、森友哉がダイヤモンドを1周していた。ホームランを打ったようだった。

 まだ彼が大阪桐蔭高に進む1年以上も前、中学硬式チーム「堺ビッグボーイズ」のOB戦でのことだ。レベルが上の高校生が相手でも圧倒的な存在感を見せつける。森の印象はこの時から今まで変わっていない。

「中学生でも木製バットを使う選手はいますけど、だいたいが慣らし運転。でも中学時代の森は木製バットを本当に道具として使っていたんですよね。こんな選手がおるんやなって衝撃でした」

 大阪桐蔭の西谷浩一監督が森の第一印象で思い出すのは、珍しいものを見たワクワクした感情だ。大阪桐蔭に入学し、自身の手元においてからも、それは変わらなかったという。

「10割バッターを目指せる選手。普通に考えて10割なんてありえないことですけど、森ならできると思える。だから、試合で6打数5安打だったとしたら、5安打を褒めるより、打てなかった1安打のことを問いかけていました」

2年秋の新チームは「しんどかった」。

 高校1年秋から正捕手となった森の存在感は絶大だった。藤浪晋太郎(現・阪神)、澤田圭佑(現・オリックス)というのちにプロに進む2人の投手をリードし、打撃面でも1、3番打者として、チーム初の春夏連覇に貢献。その後、キャプテンになった森はつごう4度甲子園に出場している。

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photograph by KYODO

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